日付:2025年05月1日
■謝ってほしいポイントを伝える
相手に謝られても、謝罪の的がずれていて、
逆にモヤモヤすることやカチンときてしまうことはありませんか?
たとえば、Aさんの企画をBさんが相談なく上司に提案したとします。
Aさん:「事前に相談してくれるか、あとからでもいいから報告してほしかった」
Bさん:「ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」
Aさん:「どちらかというと『不快感』だよ」
Bさん:「不安な思いをさせてしまい…」
Aさん:「不安じゃなくて不快という思いだよ!」
このやりとりでは、Aさんは「不快だ」と感じているので、
Bさんの言う「心配」や「不安」は、的がずれています。
このズレが、「わかっていない!」と相手の怒りを増幅させてしまうのです。
的外れな謝罪を繰り返していると、相手からの信頼を失ってしまいかねません。
なかには指摘されたことに焦ってしまい、不適切な発言をしてしまう人もいます。
もし、おかしな謝罪にイライラして、とっさに言葉が出てしまいそうなときには、
まず深呼吸をして気持ちを落ち着けましょう。
そのあとで、
「どこが問題なのか」
「本当に謝ってほしいことや、気づいてほしいことは〇〇です」
とゆっくり伝えることがおすすめです。
先ほどの例であれば、
「心配や不安ではなく『事前に報告してもらえなかったことに対して不快だった』と感じているんだ」
と伝えるといいでしょう。
■自分のNGラインは伝え続けていい
何度言っても、的外れのままの人はいるものです。
疑わしい相手に対しては、
「何について一番納得がいかなかったかわかっている?」
と質問してみてください。
相手の発言が違う場合は訂正します。
自分にとってのNGラインを繰り返し伝えるのは、
言わないことで内側に溜め込まないためでもあります。
「言う・言わない」の境界線を明確にしたら、
相手が受け入れ方に関わらず言い続けてかまいません。
ただし、ゴールは自分が悶々としないことなので、
「相手に納得させよう」「自分の思う通りの行動をさせよう」
とは考えないようにしましょう。
自分のNGラインを伝えないと、ますますストレスを溜めることになるので、
「ダメなことはダメ」と言い続けるのは大切なことです。
■言い訳をする相手にははっきり伝える
指摘をしたときに、相手が言い訳をすることもあります。
「わたしもそう思っていました」
「やるつもりでした」
などと、とっさにカチンとくるような言い訳をされたことはないでしょうか。
この場合、
「言い訳に聞こえるから、そう言わずにまずは受けとめてほしい」
とはっきり伝えましょう。
言い訳を受け入れてしまうと、今後も同じ状況がずっと続くことになりかねません。
逆に、自分が言い訳をしていると感じる人は、
「誰かのせいにしない」「至らなかったことを認める」という姿勢を心がけ、素直に
「気がつきませんでした。至りませんでした」
と言う訓練をしてください。
素直に謝罪することで、相手の怒りもおさまり、その後の仕事も円滑になります。
的のずれた謝罪は、そのままにしないほうがお互いのためです。
もし、納得のいかないことがあっても、
その場に応じた伝え方で怒りを溜めないようにしたいものですね。
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