日付:2024年10月20日
■冷静に過去を振り返ってみる
過去の出来事を思い出して、怒りがぶり返してきたことはありませんか?
もう済んだこととはいえ、そのときのことを思い返すと、つい腹が立ってしまうことはあるものです。
そんなとき、冷静に過去の出来事を振り返ると、じつは自分の思い込みだったと気づくこともできます。
存在自体が苦手になってしまった過去の出来事を、検証し直してみましょう。
■自分の思い込みに気づこう
ひとつ、例え話をご紹介します。
ある女性が、男性上司に妊娠の報告をする際、「産休後に復帰したい」と話したところ、「え、戻ってくるの?」と驚いた顔をされたそうです。
その反応を見て、
「わたしは必要ない存在なのか。女性だからそんな扱いをされてしまうのか…」
と傷ついてしまいました。
職場に復帰したあとも、その上司とは以前のようなコミュニケーションをとりづらくなり、10年たったいまでも苦手なままだそうです。
このように、何気なく言われたことや相手の表情に傷ついてしまった場合、時間がたってからは伝えにくいものです。
おそらく、相手はそのことを覚えていないでしょう。
それなのに、本人は相手と会うたびに嫌な過去を思い出し、しばらく悶々としてしまいます。
こういったケースは、じつはよく起こることです。
また、傷ついた気持ちが大きいほど、感情的になってしまうこともあります。
「あの上司は『いつも』おかしい」
「あの上司はわたしに対して『だけ』厳しい」
このように、自分の思い込みを膨らませてしまうことにもなりかねません。
■事実を書き出してみる
こういった怒りの問題は、まず過去のことを検証し直すことで解消していくことができます。
おそらく、その苦手な人も「いつ何時も」おかしな言動をしていたり、自分にだけ「100%」厳しかったりするわけではないはずです。
先ほどの女性の場合
・10年前の上司のあの発言は、やはり不適切だったと思う
・でも、その上司もいつも不適切な発言ばかりではなかった
・あのときは自分もはじめての妊娠で不安があったので、上司の発言に余計に傷ついてしまった
・いまさら傷ついたという話を言える相手ではないし、言う必要はない
…と検証しました。
彼女は冷静に振り返ったあと、ようやく10年越しに上司のことを割り切ることができたそうです。
「過去にこういうことを言われたな。でも、いまは復婦して、元通り仕事もできている。あのときのことは『こんなことがあったよね』と思って流そう」
こうして過去を冷静に振り返ることで、自分の思い込みに気づき、行動を変えることができるのです。
ずっと引っかかっている怒りがあれば、そのままにせず、書き出して検証してみてください。
あとからわいてくる怒りも健康的に解消し、気持ちのいいコミュニケーションをとっていきたいものですね。
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