-COLUMN-

組織のダイバーシティ推進に役立つ傾聴術とは?

日付:2024年03月10日

■ときには話し合いの時間をつくる

昨今では、価値観の多様性を実感する環境も増えてきました。

お互いの主張や立場を尊重したいと思いつつ、どうしたらよりよいコミュニケーションをとることができるのか、悩む上層部の人も多いのではないでしょうか。

 

M&Aを繰り返し、急成長している企業の人事担当者が、役員、管理職を対象としたアンガーマネジメント研修の最後に伝えてくださったメッセージを紹介します。

 

わたしたちの組織は、急成長をし、新卒はもちろん、さまざまなキャリアを持った人が年々数多く中途入社してきています。

新たな価値観を持った人たちがメンバーに入ってくるなかで、いままでの考え方、やり方に違和感を抱き、違う意見や提案を伝えてくる人もいて、ときにはぶつかることもあります。

だから、わたしたちに必要なのは、お互いに耳を傾け合うことではないだろうか?

 

というメッセージを投げかけたところ、研修の参加者から

「お互いに一人ひとり考えていることを、いったん話し合う時間を設ける提案をしよう」

「各々の『べき』のすり合わせをしよう」

という声があがりました。

 

このように、聴くことの大切さをマネージャーからメンバーへ浸透させていくことは、チームの心理的安全性の向上や、ダイバーシティ推進に役立つはずです。

■まずは、相手の話に耳を傾けよう

従来から在籍する人たちと新しく入ってきた人たちとの間で葛藤が起きて、コミュニケーションがうまくいかないケースは多々あるものです。

 

「いままでこうだったんだから、こうやればいいんだよ」

「え? でもそれって、こうしたほうがよいのでは?」

「いや、その通りやっていればいいんだ」

このような押しつけは、業務に支障をきたしてしまいます。

 

ある企業で、マネジメント層の方々を対象とした研修を担当した際に、耳にしたことです。

会社がさまざまな価値観を持った人たちを次々に採用していき、メンバーも増えていくなか、

「いままでのやり方に違和感を感じている人もいて、どうしたらいいだろうか…」

という話をした人がいました。

 

企業が「ダイバーシティ&インクルージョンを進める」という大きなビジョンを掲げていても、現場で具体的にどう動けばいいのかというところまでは、意外と落とし込めていないものです。

 

早稲田大学大学院教授の谷口真美氏によると、ダイバーシティには、2つのタイプがあると言います。

ひとつが「表層のダイバーシティ」、もうひとつが「深層のダイバーシティ」です。

表層のダイバーシティを進めることは、女性、外国人、障がい者といったマイノリティとされる人たちを雇用し、福利厚生等の制度を整備する取り組みにあたります。

 

そして、「深層のダイバーシティ」を進めることは、職歴、スキル、パーソナリティ、

考え方、仕事観、文化的背景など、外側から認識できないような個性の違い、深層の多様性を、企業経営に結びつけようとする取り組みを指すそうです。

 

こういった話を聴きながら、深層の多様性を進めるスタートになるのは、「耳を傾けること」ではないかと思いました。

 

いままで通りのやり方や、こちらの「べき」を押し通すのではなく、異なる価値観、背景を持つ人の話に耳を傾け、相手の「べき」を知り、認めること。

これは、相手に迎合することではなく、新たな価値観が生まれることにつながるのではないでしょうか。

 

聴く力は、コミュニケーションに欠かせない、人間関係を円滑にするスキルです。

まずは現場で、相手の話に耳を傾けることから始めてみませんか?

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