-COLUMN-

同じミスを繰り返す相手にネガティブフィードバックをするとき

日付:2025年11月1日

◼️伝え方を変えて、相手の心に届くことを意識する

 

同じミスを何度も繰り返されて、

指導する立場として疲れてしまった経験はありませんか?

 

最近では、

「やりとりのたびにイラッとしてしまう」

「何を言っても伝わらない気がして無力感を覚える」

「期待していたのに落胆してしまう」

といった声を聞く機会も増えています。

 

そうした積み重ねのなかで、精神的に追い詰められてしまい、

「もうやってられない!」

「どう指導すればいいのでしょうか?」

と相談を寄せてくださる方も少なくありません。

 

ミスが続くと、フォローする側もストレスがたまり、

「一度注意されたら直すのが普通だよね」

「先輩や上司に言われたら、改善するのが当たり前でしょ」

と感じることもあるでしょう。

 

でも、「普通」や「当たり前」という意識で接すると、

知らず知らずのうちに相手を責めるような口調になってしまいがちです。

 

そういったフィードバックでは指示が曖昧になり、

かえってミスの改善が難しくなることもあります。

 

たとえば、

・「すみません」と謝られるばかりで、前向きな変化が見られない

・丁寧に説明したのに、「怒られた」「責められた」と受け取られてしまう

・萎縮して考えが止まり、動けなくなってしまう

 

こうした状況に心当たりがあるなら、

まずは「伝え方」を見直してみましょう。

 

言葉を変えるだけで、相手の受け取り方も、

行動の変化も大きく変わっていくものです。

◼️ミスの影響を理解して、改善への意識を育てる

 

たとえば、経理や経営に関わる部署では、

わずかな数字入力のミスが大きなトラブルに発展する可能性があります。

たとえ小さな間違いでも、書類の数字に「0」がひとつ抜けていれば、

後工程の部署から

「こんなミスをするなんてありえない!」

「あの担当者は大丈夫なの?」

といったクレームが入ることもあるのです。

 

こうした事態を防ぐためには、

自分のミスがどのようにまわりへ影響しているのかを、

しっかりと理解してもらうことが大切です。

 

上司の伝え方(例)

「数字入力のミスが5回ほど続いているようなので、

改めて確認させてくださいね。

金額に関わる業務では、数字をひとつでも間違えると、

お客様や取引先の信頼を損なうことになってしまいます。

さらに、この部署全体が、ほかの部署から

不信感を持たれてしまうおそれもあります。

たったひとつの入力ミスが、

間違った情報を広げてしまうこともありますし、

結果的にほかのメンバーにも負担をかけることになります。

今後このようなミスを防ぐために、

業務の進め方を一緒に見直したいと思います。

いま、どんな手順で作業をしているのか、

教えてもらえますか?」

 

ミスを繰り返す人の多くは、

自分の担当範囲だけを見て行動していることが少なくありません。

 

まずは、「以前にも指摘したミスが再び起きている」

という現状を共有し、

そのミスがほかの人や部署にどんな影響を与えているのかを

具体的に伝えましょう。

 

必要であれば、なぜミスが起きるのか、

原因を一緒に確認することも効果的です。

 

これが、ミスを起こしやすい人への

基本的かつ重要な対応の第一歩です。

 

さらに、フィードバックの目的は単に

「ミスを繰り返さないように」と伝えることではありません。

「今後はこうすれば同じミスを防げる」

という改善の方向を明確にし、

相手に理解してもらうことで、

行動の変化につなげることが大切です。

 

言葉のかけ方次第で、相手も自分も驚くほど変わっていきます。

一つひとつ伝え方を意識して、信頼関係を築いていきましょう。

 

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