日付:2025年06月10日
■謝ることは負けではない
「謝ることは、自分が相手に負けたように感じる」
「自尊心が傷ついてしまう」
と、思い込んでいる人がいます。
ところが、何か間違ったことなどをしてしまったあとに、
その人がどのような態度をとるかは、
思っている以上にまわりから見られているものです。
自分に非があるのになかなか謝らない人を見ていると、
「え? どういうこと?」とイライラしてしまいますね。
そのまま放置していると、
「この人には謝らなくても大丈夫」「そのままやり過ごせる」と誤解し、
謝らないことが習慣にもなってしまいます。
直接話せる相手であれば、「ここは謝るところだよ」と
ひと声かけてあげてもいいでしょう。
お客様やチームの人たちが迷惑をかけた相手には、
「ごめんなさい」「申し訳ありません」と言うように伝えることも大切です。
こうすることによって、相手との関係性の改善にもつながります。
後輩や指導が必要な相手に伝える場合には、
ただ責めるだけでは相手が反発してしまうこともあるかもしれません。
注意をする際には、なぜ謝らなくてはいけないかを併せて伝えてください。
まず、誰でもミスをすることや迷惑をかけることはあるものだということ、
ミスや迷惑をかけること自体がすべて悪いわけではないということを共有します。
そして、謝らないことで、
その人にどのようなデメリットがあるのかを理解してもらえるよう、
丁寧に説明するのです。
「迷惑をかけたらすぐに謝ろう。そうしないと、
反省していないと思われたり、理解していないと誤解されてしまうよ」
「そのあと、あなた自身の仕事がしづらくなってしまうよ」
「お客様が納得しなかったら、このあとの仕事に支障が出るよ」
このように、できるだけ具体例を交えて、
何がいけなくて、どうすればいいのかを示すことが得策です。
◾️関係性を見極めて、適切な距離間を保とう
さらに、謝罪をうながさなければいけない相手なのか、
それを求めても仕方がない相手なのかを、
見極めることも重要なポイントです。
たとえば、仕事などで関係が続く相手の場合は、
「今後もいい関係を築くために、謝れる姿勢を身につけてほしい」
と伝えたほうがいいでしょう。
そうすることで、今後の業務にも支障をきたすことを防ぐことができます。
一方、関係を続ける必要がない相手であれば、
余計なトラブルを避けるために、とくに何も言わず、
徐々に距離を置いていくことも選択肢のひとつです。
相手が謝らないことが毎回心に引っかかっていると、
だんだん不満がたまってきて、やがては「もういい加減にしてほしい!」
と感情が爆発してしまうこともあります。
そうならないためにも、
伝えたほうがいい相手かそうでない相手かを見極めて、
冷静に伝えることがおすすめです。
お互いに理解し合い、
誠実なコミュニケーションを大切にしながら、
気持ちのいい関係性を築いていきたいものですね。
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