-COLUMN-

できない相手に怒りがわく…自分と比較してイライラするときの対応法

日付:2025年04月20日

高い期待は怒りがわきやすくなる

 

「なぜこの人はできないのか…と、怒りがわいてしまう」

といった相談を受けることがあります。

このような怒りは、管理職の人がよく抱きがちです。

 

できない相手に対して、

「わたしが若かった頃にはできたのだから、同じようにできるのが当たり前だろう」

「これが普通だろう」

という想いがわいてしまう…。

 

これは、自分の基準を常識だと決めつけ、

その価値観を相手に押しつけてしまうことから起こります。

だからこそ、期待通りにならないことにイライラして怒りがわいてくるのです。

 

でも、人はそれぞれ、能力も得意とすることも違います。

能力が異なるということは、苦手とすることももちろん異なるということ。

 

だからこそ、

どうしたらその人ができるようになるのかということに意識を向けて、

行動したいところです。

 

そもそも、「なぜできないのだろう」と思っても、解決策にはなりません。

相手との関係性に溝が生じるだけで、発展的なことにはつながらないのです。

 

では、なぜ「わたしはできたのに、この人はできないのか」

という怒りがわいてきてしまうのでしょうか?

 

それは、相手への期待値が高いからです。

期待がある分だけ怒りもわいてしまうということを、まずは理解しておきましょう。

 

■自分の経験が当たり前ではない

 

こういった怒りを抱えている人は、仕事ができる人に多く見受けられます。

自分ができることほど、「まわりの部下は、なぜできないのか」と、

相手に求める基準も高くなり、怒りが増幅してしまうのです。

 

そのようなときに、怒りを抱き続けても部下は成長しません。

まずは、その怒りが部下にとって発展的なのかどうか、

あらためて考えてみてください。

 

あるとき、大手企業の常務がこんなことをおっしゃっていました。

 

「わたしはずっと、野球でいうと150キロの剛速球が飛び交うなかで野球をしてきた。

でも、わたしがいま担当している30代の部下たちは、

草野球のチームからのスタートなんだよ。

置かれた環境も経験も、キャリアも違うということがようやくわかった。

150キロの剛速球の経験をしたことがない人に、

この剛速球がなぜとれないのか! と言っても、

経験がないものは仕方がないよね」

 

このお話はとても印象的でした。

 

こちらの常務は、若手の頃、

150キロの剛速球が飛び交うような厳しい職場でしごかれ、

成果を上げなくてはいけないような環境で過ごしてきたそうです。

 

そして、それが当たり前にできるようになった頃には、

できない人たちのことを「なぜこの球がとれないのだろう」と思っていたのです。

 

でも、相手に経験がなければ、

すぐにできるようにはなりませんし、無理もありませんね。

 

■相手の背景を理解して小さな目標から取り組む

 

もし「自分はできたのに…」と感じるときは、

相手のキャリアや経験、能力を洗い出してみてください。

 

そして、ひと通り把握したうえで、

・その人にどうなってほしいのか

・どうしたら望んでいることをしてもらえるのか

ということも、書き出します。

 

相手に話すときは、

「なぜできないのか」という点にフォーカスするのではなく、

「こうあってほしい」というゴールの未来を共有しながら伝えることが大切です。

 

「まず、いま〇〇さんには、こういうことをできるようになってほしいんだ。

それには、どんな取り組みをしたらいいか、一緒に話し合いたいと思っている」

 

このように伝えてみるといいでしょう。

 

自分と比較してただ高い期待値を掲げるのではなく、

一歩ずつ小さな目標から取り組めるように関わっていきたいものですね。

 

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