日付:2024年06月10日
■謝罪は恥ずかしいことではない
人から指摘をされた際、あなたはどのような態度をとっていますか?
指摘を受けた場合、ときには謝ることも必要ですが、頑なになってしまう人もいます。
先日、ある対談をした際に「謝ったら死んじゃう病」が話題になりました。
ミスを指摘されたときに、「ごめんなさい。悪かったね」と言ったら、自分のプライドがズタズタになって、死んでしまうような気持ちになる人がいるそうです。
対談を聞いていた人からも、「いるいる!」という反応が多数寄せられて、とても盛り上がりました。
厄介なのは、部下が自尊心の高い上司に対して、
「え? これって、こうではなかったですか?」
と指摘したとき、
「いいから。うるさい!」
と、上司が上から叩きのめしてしまう場合です。
謝ることは、自尊心を傷つけられることではありません。
「謝ったらメンツが潰れて恰好悪い」
「部下に謝るようなことをするなんて情けない、恥ずかしい」
と言って素直に謝れない人のほうが、よほど恥ずかしいと思いませんか?
それでも、年代を問わず、誰かからミスを指摘されたとき、
「でも、○○さんがこう言っていたので」
「え? そんなことは聞いていません」
「ほかの人もやっていますよね?」
と謝ることなく、攻撃的に言い返してくる人もいます。
こういった人は、自分に対する間違いの指摘やネガティブなフィードバックを、素直に受けとめられないのでしょう。
人間関係において、長期的に見たときに、多大な損をすることになります。
■素直に聴く姿勢が人望を集める
新入社員の育成担当者は、「こうしたほうがいいよ」と指導したときに、
・素直に耳を傾け、お詫びができる人
・誰かのせいにすることや、言い訳ばかりする人
がいると言います。
どんなに優秀でも指導を受け入れない人より、素直に耳を傾けてくれる人に好意を持つそうです。
これは、若手に限る話ではありません。
わたしが研修先で出会った、部下の信頼を集めている部長のエピソードをご紹介します。
彼の場合、普段の仕事ぶりはもちろん、失敗も改善点も素直に認める潔さが、信頼される大きな要素でした。
部長である自分の意見より、部下のほうがよい意見を提案したときには、素直に耳を傾けます。
そして、ちょっと怒りすぎてしまったときには、個別に
「さっきは言いすぎたよ。悪かったね」
と謝るのだそうです。
頑なに自分の失敗を認めない人より、むしろ認める人のほうが、多くの支持を集めるということがよくわかりますね。
「人に迷惑をかけたくない」
と言う人はいますが、人間は誰でも、間違えたり、失敗したり、まわりに迷惑をかけることがあるものです。
誰にも迷惑をかけずに生きていくことはできません。
大前提として、このことは知っておきたいことです。
そのうえで大切なのは、失敗してしまったとき、その失敗を認め、迷惑をかけた人にお詫びができること。
謝罪は、「してしまったこと」に対してするものです。
決して、自分を否定することにはなりません。
自分の価値を下げることではないと理解できたら、行動も変わっていくはずです。
■クレームの対応次第でファンがつくこともある
お店の接客でお客様からクレームの連絡があったとき、店舗側は迅速かつ的確な対応が必要です。
そこで、誠意を感じられる対応ができると、お客様がお店のファンになることがあります。
これと同じように、いち早く誠意のあるお詫びができれば、たとえミスをしても逆に評価が上がることになるのです。
真のプライドを持っている人は、そのことがわかっています。
謝罪したとしても、自分の価値が下がらないことを知っているので、潔く頭を下げることができるわけです。
これは、クレーム対応に慣れているベテラン層にとっては、当たり前のことかもしれません。
でも、とくに新人の場合、クレームを受けた際にどういった対応をすべきか、わかっていないケースが多々あります。
自分がミスしたときにはもちろんですが、ほかの人に落ち度があった場合でも、会社の代表として
「このたびは、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
と、謝罪しなければいけないこともあるでしょう。
この初期対応が、今後を乗り切る鍵を握ります。
新人に限らず、意外とできていない人が多いので、チーム内でも共有し、心がけていきたいものですね。
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