-COLUMN-

上司のパワハラが許せなくてどうしようもないときには…

日付:2022年01月10日

■復讐しても怒りは消えない

 

ひどいことをされた怒りがこみ上げて、

「どうやって復讐をしようか…」

という思いがよぎるほど悩んでしまったという経験はありませんか?

 

2020年の6月に大企業のパワハラ防止法が施行されました。

近年わたしのもとにもパワハラについての相談が激増しています。

最近も次のような悩みを吐露されました。

 

「上司から仕事ができないと日々言葉で責められ、パワハラ認定を受けて部署を異動。

でも、その上司を社内で見かけたり、書類で名前を見つけたりするだけで、当時の感情がよみがえってきてつらいんです…」

こういった問題は珍しいことではなくなってきました。

 

強い怒りの感情は、理想の未来を見失わせてしまいます。

ひどい仕打ちを受け続けていると、心が怒りに支配されて、毎日がつらくなってしまいますよね。

そうなると、とても平常心ではいられなくなってしまうものです。

 

仕返ししたいほどの怒りがわいてくるときには、まず

「復讐することで、パワハラされたときの怒りがすべて解消されるのか?」

を考えてみましょう。

復讐しても怒りがおさまるわけではないということに、自分自身で気づく必要があるのです。

 

たとえば、

「相手に暴力を振るったり、仕事の足を引っ張る行為をしたら、心が満たされるのか? スッキリするのか?」

想像してみましょう。

 

今回のようなケースでは、相手に仕返しすることで、まわりにいる大切な人たちがどうなってしまうのかを考えるのがいいですね。

 

・復讐をすることで、会社での信頼を失うかもしれない

・家族や大切な人を悲しませてしまうかもしれない

 

というように、怒りに任せた行動をとることで、どんな影響を及ぼすのかを考えてみることです。

そうすると、復讐することが、いかに後々の自分に悪影響を与えてしまうかがわかります。

「いまのしあわせが台無しになってしまうかもしれない」

と気づくことで、怒りから我に返る人も多いのです。

 

これまでたくさんの方の相談を受けてきましたが、仕返ししたことで、スッキリしてしあわせになったという例を、わたしは一度も耳にしたことがありません。

怒りをため続けることで、精神に不調をきたしてしまう人もいます。

 

 

■「過去の怒り」より「理想の未来」に目を向ける

 

もし、たとえば

「大切な家族とともに暮らす」

という理想的な未来が、復讐することで叶わなくなったとしたら、

「なぜこんなことに…」

とまた新たな怒りがわいてくるはずです。

こうして怒りは繰り返され、延々と続いてしまいます。

 

恨みを晴らしたくなるような相手がいるときには、まず、怒りから我に返ること。

すぐに怒りは消えなくても、その怒りにとらわれ続けるのではなく、自分が理想とするしあわせな生活に意識を向けて、これからの未来を生きましょう。

 

2022年4月からは、いよいよ全企業でパワハラ防止法が義務化されます。

企業で働くすべての人が意識しなければいけない問題になるのです。

 

自分ではどうにもならない場合、会社に産業医がいるのであれば、相談してみるのもおすすめです。

また、産業医がいない場合は、心理カウンセラーや心療内科の専門医に聞いてもらうことも有効ですね。

いずれにしても、こういったケースのときには、ひとりで怒りをため込まないようにしましょう。

 

 

 

 

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