日付:2025年06月20日
■ロジカルな人ほど理性が働きやすい
「自分の発言には責任を持たなければいけない」
「言いたいことは整理して言わなければならない」
人と関わる際、このように感じてしまうことはありませんか?
仕事ができる人や理論的に考える人ほど、
言いたいことを飲み込んでしまうクセを持っているケースが多く見られます。
日頃行っている報連相の整理と、
イライラする気持ちの整理はまったくの別物です。
自分の気持ちをうまく伝えられない人は、
「感情を抑えてロジカルに伝えよう」
と努めるあまり、話すタイミングを逃してしまうことがあります。
普段はロジカルに話すことができる人ほど、あとから
「あのときこういうふうに伝えておけばよかった…」
と悩んだり、自己嫌悪に陥ってしまう人もいます。
とくに「女性はビジネスでも感情的になりやすい」という根強い偏見を気にして、
「イライラしてもヒステリックだと思われないようにしなければ…」
「リーダーシップを発揮するには、感情を表に出してはいけない…」
と感情を抑えている女性も少なくありません。
実際、女性管理職の方たちから、このことについてよく相談を受けます。
■感情を表現する言葉を身につけよう
もともと、ロジカルなタイプの人は話を整理して伝えることが得意です。
その強みを活かし、怒りの感情を表す言葉や、
伝え方の引き出しを増やすことで、
より素直に感情を表現できるようになっていきます。
たとえば、
「この件について、本来はこのように対応してほしかった。
でも、それが叶わなかったのでいま戸惑っています」
といった「何をどうしてほしかった+感情」という伝え方はおすすめです。
「(急な依頼に対して)少し戸惑っています」
「あまりにも唐突な意見なので、正直なところ驚いてしまいました」
「(突然の変更になると)さすがにわたしも困ります」
「このタイミングでの変更は想定外です」
「もし事前におわかりであったなら、〇〇までにご連絡いただきたかったです」
「このまま進めていいものか、心配になりました」
このような例も、使いやすいフレーズではないでしょうか。
相手に伝えるときは、感情的にならないように、
穏やかに、でもはっきりと伝えることが大切です。
■率直に言い切る形で伝える
自分の意見を伝えることに苦手意識を持っている人の場合、
とくに言いづらいことを伝えるときに、語尾を言い切らない傾向があります。
〇「●●してほしかったです」
×「〇〇してほしかったのですが…」
このように語尾を言い切らずに曖昧にしてしまうと、
伝え方によってはさまざまな誤解を招く可能性があります。
たとえば、
「〇〇してほしかった(それなのにあなたはしてくれなかった)」
と相手を必要以上に責めているように聞こえて、
誤解されてしまうこともあります。
一方、とても遠慮がちに顔色をうかがっているように
聞こえてしまうこともあるかもしれません。
そうすると、「あ、ごめんごめん」という軽い言葉だけで流されてしまい、
こちらの主張が改善されないまま終わってしまうこともあるでしょう。
率直に言い切る形で伝えられると、相手に
「この人はきちんと主張する人だから、次回からは気をつけよう」
と意識してもらいやすくなるはずです。
とくにビジネスシーンにおいては、
自分の主張をしなければいけないことも多々あります。
お互いがよりよい仕事をするために、譲れない境界線は必要です。
その境界線を頻繁に破られると、お互いにとってストレスになります。
「この境界線を越えたら伝える」というスタンスを持つほうが、
むしろ仕事のやりとりをしやすくなるでしょう。
自分の意見を主張することは、決して相手を責めることではありません。
たとえ、取引先の相手であっても「こうしてほしい」という要望や、
今後の改善提案は、伝えたほうが全体のためになるのです。
よりスムーズなコミュニケーションをとるためにも、
臆することなく、必要なことを伝えていきたいものですね。
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