日付:2025年06月1日
■値引き交渉の線引きラインを決めておく
値引き交渉をされたときに、
「どうしてこの人はこんなに図々しいのだろうか…」
「なぜ、こんなに値引きの交渉をされなければいけないの?」
と怒りを感じたことはありませんか?
値引きに関しては、
「この場合、どこまではOKでどこからは応じられない」
という線引きのラインを明確に持っておくのがおすすめです。
そして、
「申し訳ありませんが、この金額以上は交渉に応じることはできません」
「〇〇という理由があり、お引き受けすることができかねます」
とはっきり伝えられる準備をしておきましょう。
■人によって値引きに対する心理は違う
とくに、関西の人のなかには「値引き交渉をしなければいけない」
という気持ちになるタイプもいます。
高級ブランド店でさえ、値引き交渉をするという人もいました。
こういった人たちにとって、値引き交渉は挨拶のようなもの。
世の中には、誰に対しても気軽に値引き交渉をする人もいるのです。
こういったやりとりを目にしたとき、
値引きの話が出た途端に「え? 何この人!」と不機嫌な表情をしたり、
即座に相手を否定したりする人がいます。
そうすることで、その場の雰囲気をとても悪くしてしまいます。
もし、驚いたとしても、スマートに対応して場を壊さないようにすることが理想的です。
たとえば、相手の希望を
「〇〇円でということですね」
といったん受けとめつつ
「このような理由から、これ以上の値引きは難しいのです」
と返答できると、その場の雰囲気を損なうことなく、
こちらの意向を伝えて対応できます。
別のアプローチとして、多少の値引きが可能であれば、
「通常はお受けしないのですが、お客様には特別に…」
という伝え方で値引きを提案したり、
「値引きは難しいのですが、
代わりにこのようなオプションをつけることはできます。
いかがでしょうか」
と返答する方法も効果的です。
■全体を俯瞰してから値引き交渉を受ける
先ほどのように、
挨拶をする感覚で値引き交渉を行う人もいるので、
値引き交渉を受ける側のときは、
イライラした表情を見せたり、
軽蔑のまなざしをしないように心がけましょう。
わたし自身、
人数や予算の面で値引き交渉を受けることがあります。
交渉があった際には、金額だけでなく付加価値も含めて、
全体を考慮することも必要です。
たとえば、わたしが金額面以外に考慮しているケースは、
下記の場合です。
・長期的なお付き合いをしている取引先や、
今後も数年やりとりが継続すると予想される取引先の場合
相手の事情がわかれば(予算、緊急性のある内容など)、
申込講座をパッケージにして値引きするなど、
何かしら方法を柔軟に考えてお引き受けすることがあります。
・講演料が規定の額に満たなくても、
SNSなどPR・広告効果が期待できる場合
・社会貢献につながる場合
子育て中の母親たちの支援につながると考えられるものは、
交通費程度の金額でもお引き受けしたことがあります。
ただし、
「この金額でお受けしますが、
日程は繁忙期ではない時期に実施させてもらえませんか?」
という別の交渉を行いました。
■値引きを受けられないときは理由まで伝える
値引きについて、すぐにその場で判断ができない場合や、
自分にその判断をする権限がない場合は、
その事実を相手に伝えて、いったん情報を持ち帰りましょう。
持ち帰る際には、返答期限を確認したり、
上司に確認をとってから返答する旨を伝えておくことも重要です。
内容にもよりますが、わたしの場合は、
早くて翌日、長くて1週間くらいの時間をいただくようにしています。
最終的に金額を下げることができない場合には、
「申し訳ありません。
ほかのお客様と公平にしなければいけませんので、
ご理解いただければ幸いです」
とお伝えします。
相手の要望に応じることができないと判断したときは、
その理由まで伝えることもポイントです。
説得力のある返答になり、相手も
「そうだよね。それは無理だよね」
と納得を得られやすくなるからです。
さらに、理由を共有しておくことで、
次の機会につながる可能性もあります。
「前回は〇〇が理由で無理だったけれど、
今回はその条件をクリアしているから…」
と再度ご依頼をいただくこともあるかもしれません。
「やはり無理です」「ちょっと難しいです」と言うだけでは、
一方的に断られた印象を相手に与えてしまう可能性もあります。
逆に、明確な理由があると、
「無下に断られた」という印象は与えません。
このように、価格交渉の対応や断り方は
今後の関係に影響を与えるため、とても大切です。
お互いによい関係を築くためにも、
スマートな対応を身につけていきたいものですね。
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