日付:2025年05月20日
■ミスを想定したフォロー体制をつくる
5月も半ばを過ぎ、
新入社員の人たちも少しずつ慣れてきたところではないでしょうか。
上司の立場の人からは、
一人ひとりの個性なども見えてきた頃かもしれませんね。
もちろん、いい面もあるでしょう。
でも、なかには、
「つい3日前に言ったことをまたやってしまう…」
「契約書や請求書の金額を誤ってしまう…」
「相手の名前を何度も間違える」
など、これを何度もされると会社としての信用が落ちるというミスを、
何十回もやってしまう人がいる場合もあります。
そういったとき、マネジメント側は本当につらいところです。
これまでと同じ言い方ではすまされないくらいの気持ちになったら、
どのようにおさめればいいのでしょうか?
もし、伝えて改善する可能性がある人の場合は、
繰り返し伝えていくようにします。
でも、能力的に無理だと思うならば、割り切って、
できないことを前提としてまわりがフォローすることが必要です。
割り切る場合、その人の行動面を分類して対処を考えましょう。
「気をつけて」と言えばなんとかなる部分に関しては、
こちらから声をかけ続けてみてください。
何度言っても完璧にはできないと思う部分は、
それを見越して、こちらでフォロー体制をつくることが得策です。
■同じことを繰り返し伝えよう
期限を守ることができない人も、頭を抱える原因になります。
以前、
「お客様に迷惑をかけるからダメだ」
と注意をすると、1週間ほどは気をつけていても、
気が抜けるとまた守らなくなってしまう人がいました。
こういう人の場合は、また1週間前と同じように
「お客様に迷惑をかけるからダメだ」
と伝えます。
これを繰り返していくのがポイントです。
それでも「どうしてもこのミスは直らない」というときには、
ほかに人材がいるなら適材適所で役割を替えましょう。
どうしても任せなければいけないときは、
ミスする可能性を見越してまわりにもフォローをお願いしておきます。
このタイプの人に「何回言っても直らない」と責めても、
どうにもならないばかりか、お互いに疲弊してしまうだけです。
自分もイライラしますし、
相手も同じミスをずっと指摘されることでモチベーションを下げ、
拗ねてしまう可能性もあります。
もし発達障害のような要因がある場合には、
すぐに改善するのは難しいので、別の対応が必要です。
■意識をそらす方法で怒りをやり過ごす
何度も同じミスが繰り返されていると、
相手が問題行動を起こした瞬間に、
感情的な気持ちがこみ上げてくることもあるものです。
そんなときには、以前のコラムでもご紹介した、
6秒やり過ごす方法がおすすめです。
6秒やり過ごすことが難しい場合は、
たとえば持っているペンなどをただ見つめたり、
相手のいない方向を見て、意識を一瞬ほかに向けてみましょう。
イラッとしたときに絶対にやってはいけないことは、寒言を吐くこと。
たとえば、わたしの場合は、6秒たったあとに理性が働いてきたところで、
「ちょっといいですか?」
という言葉を言うようにしています。
相手が何かしてしまったとき、
とっさにとんでもない言葉を言ってしまわないように、
あらかじめ返す言葉を用意しておくのが有効です。
そのあとに、
「これはやってはいけないよ」
「どうしてこうなったのか教えてくれない?」
「これは見直さないといけないよ」
と、相手のしたことに対して話を続ければ、
流れが変わるかもしれません。
相手のミスが発覚したとき、
その場に居続けるのではなく、
トイレに行くことやコーヒーを淹れに行くことなど、
一回リセットするために、
わざとその場を離れるようにするのも効果的です。
説教のようなことを言ってしまわないように、
可能な限りその場を離れて距離をとるようにします。
あまりにもミスを繰り返す人を相手にする場合、
ときには怒鳴りたくなるくらい感情がわき立つことがあるはずです。
チームのためにも自分のためにも、
怒りをそのままぶつけなくてすむ対策を考えておきましょう。
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