日付:2025年02月20日
■自分の価値観を押しつけていませんか?
「自分の価値観と違う人に対して、『こうするべき』という想いにとらわれ、
イラッとして指摘してしまう…」
こういった相談を受けることがあります。
自分の価値観を「みんなの正義だ」と言って、主張し過ぎてはいけません。
たとえば、ある女性は
「自分のパートナーのことを『主人』と呼ぶ人が許せない」
と考えていました。
その女性の主張によると、
「『主人』という言葉は、『夫が妻より上の立場』という意味になっている。
世の中の女 性が『主人』と呼ぶから、女性が下に見られてしまうのだ」
というものでした。
もし、ここで誰かに対して、
「あなたみたいな人がいるから、世の中の女性がなめられるのよ。
主人という言葉を使うのはおかしい!」
と言ってしまったら、それは言い過ぎです。
自分の意見と異なる人や自分に従わない人に腹を立てて、
「間違っている」と非難したり、批判したりしないようにしましょう。
個人の価値観は、「正解」「不正解」と判断できるものではありません。
人に対して何か伝えたくなったときには、
「わたしは、こういう考えを大切にしている」
ということだけを話しましょう。
前述の例で言うと、上下関係ではなく、
夫を「主人」と呼ぶことを愛称として使用する女性もいます。
そのため、
「わたしはジェンダー問題に関心を持っているから、気になっちゃうんだ」
などと伝える程度がちょうどいいかもしれません。
■多様な価値観を受け入れよう
自分の価値観を押しつけてしまうと、
いくつかの問題が生じることもあります。
・周囲から「面倒くさい人」と思われる
・相手が「非難された」と感じ、距離を置くかもしれない
・最悪の場合、関係が損なわれる可能性もある
このように、「これが正しいやり方だ」と考えが固執すると、
自分自身もイライラする状況が増えてしまいます。
そして、結果的に自分が苦しい想いをすることになるのです。
「わたしは、こういう考えを持っている。
ほかにもさまざまな考え方があるし、また別の考えの人もいる。
それぞれに違いがあってもいい」
という発想を持っていると、心がラクになります。
チームや組織で大切な決め事をする際には、
「これは、こういうルールだから…」
と説明する必要もあるでしょう。
ただ、個人の価値観に関わることは、
相手に強要することではありません。
こうした線引きに気をつけて、
気持ちのいい人間関係を築いていきたいものですね。
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