日付:2025年01月20日
■五感へのアプローチを活用する
「部下が指示通りに仕事をしてくれない…」
「大きなミスを繰り返したり、頼んだことをうっかり忘れたりしてばかり…」
このような部下への悩みを抱えている上司は少なくありません。
こういったことが続くと、部下の存在そのものが許せなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
そうなると、部下がミスするたびにカッとなってしまう可能性があるので、一瞬で気持ちを切り替える方法が必要になります。
とにかくパッと気持ちを切り替えるためには、五感にアプローチする方法がおすすめです。
たとえば、部下がミスをした瞬間に、次のようなことを試してみてください。
・視界に入らないようにするために離席する、視線を外す
・手のツボを押して「凝っているな〜」と手の感覚に意識を向ける
・好みのアロマをハンカチにつけたり、スプレーで用意をしておいて香りをかぐ
ポイントは、意識を違うところへ飛ばすことです。
そのまま対峙していると、怒りばかりが増長してしまうので、とにかく五感を使って違うところへ意識を向けましょう。
■事実だけをシンプルに伝えよう
言葉で伝えなければいけないときには、冷静に、いま起きている事実だけを伝えます。
うんざりすると、
「この仕事は向いていないよ」
「何度言っても直らないよね」
などと、つい言ってしまいがちです。
でも、この言葉では相手に
「『あなたはダメな人間だ』と言われた…」と受け取られてしまい、肝心の改善してほしい内容が伝わりません。
相手にわかりやすく伝えるには、次のように言い換えましょう。
「ここが間違っているよ」
「まわりにこういう迷惑がかかるから、ここを直してほしい」
このように、事実だけを冷静にシンプルに伝えることが有効です。
何度もミスを繰り返す相手の場合、まわりの人への負担も増えてしまっています。
そのため、問題を起こしている人への対応は、周囲にも注目されているものです。
怒鳴りつけていると空気も悪くなってしまいますし、怒鳴るクセがつくとその怒りが伝染してしまいます。
そうならないためにも、本人だけでなくまわりへの配慮も必要です。
■改善してほしいことをはっきり伝える
昨今では、パワハラを気にして、感情を出さないようにしている管理職の人も多いのではないでしょうか。
そうは言っても、いつも上司が理路整然と対処できることばかりではありませんよね。
怒りは、表現すること自体が悪いわけではないのです。
アンガーマネジメントでも、怒りをどう表現するかが大事だと伝えています。
「本当にやめてほしい」ときっぱりと言うことで、真剣さが伝わり、相手の言動が改善されることもあるのです。
はっきり指摘していいケースはどんなときなのかを、あらかじめ決めておくのもおすすめです。
基準としては、次のようなものがあげられます。
子育ての場合
・命に関わるような危険があるとき
・嘘をついたとき
・お友だちに「死ね」と言ったり、差別に値するような言葉を使ったとき
仕事の場合
・トラブルの原因を誰かのせいにしたとき
「〇〇さんがこう言ったから」
「教えてもらえなかったから」
このように言ってくることもあるかと思いますが、本人がそれをよしとして決定した責任を認めないのはNGです。
・謝らないとき
本人に非があるときは素直に認めたほうがいいこと。
「でも」「だって」と、言い訳を繰り返すのはよくないことを指摘したほうがいいでしょう。
・紹介した相手に迷惑をかけたとき
紹介は、信頼関係のうえで成り立っているもの。
約束を破ったり、不義理なことをされたりしたら、紹介した側、された側の双方に迷惑がかかるので注意したほうがいいでしょう。
・その人のベストを尽くしていない、いい加減な仕事をしたとき
仕事に慣れてきたとき、「仕事はパパッと終わらせるのがいい」と勘違いをして、手を抜いてしまうタイプの人もいます。
この場合、繰り返されないようにしっかり注意をすることが必要です。
・コンプライアンス違反をしたとき
以前にも違反していたり、コンプライアンスに抵触していると知ったうえで違反した場合は、厳重注意をする必要があります。
わからずにしてしまっている場合もあるので、1回目ならば、そこまで強く言わなくてもいいかもしれません。
まずは相手がミスをしたら、五感を使ってパッと気持ちを切り替えること。
そのあとで、今後の仕事や会社の信用間題に関わってくることについては、「これは改めてほしい」ときっぱりと伝えたほうが今後の改善につながります。
相手の人格否定をしないように気をつけていれば、ときには語詞を強めて伝えることがあってもかまいません。
このタイプの人の場合、怒られるような行動パターンをとるのがクセになってしまっているケースもあります。
正面から対峙していると、冷静さを失う可能性もあるので、自分が怒りに飲み込まれないようにしたいですね。
そのうえで、伝えるべきことをしっかり伝えましょう。
『アンガーマネジメント大全』
(日経BP 日本経済新聞出版)好評発売中!