-COLUMN-

クレーム対応時に相手の怒りを増長させない傾聴術

日付:2024年08月20日

■まずは、誠意のある謝罪をする

 

クレームに対応する際、「お客様を余計に怒らせてしまった…」という声を多く耳にします。

 

顧客側がクレームを言うとき、応対する人の立場がどうであれ、会社の代表としての対応を求めているものです。

「あなたの会社の製品やサービスに問題があった」

「あなたはこの組織の人間でしょ」

こういったクレームに対して、まずは、誠意を込めて謝罪することが欠かせません。

 

そこで謝らない担当者の多くは、

「わたしの失敗ではない」

「わたしの責任ではない」

と、心のなかで思っていることがあります。

 

そういう思いは、言動の端々に出てしまうものです。

そして、

「担当者から他人事のような対応をされた」

「誠意が伝わってこない」

と二次クレームにつながり、問題がさらに大きくなりかねません。

 

わたしのもとにも、クレーム対応の相談が数多く寄せられます。

実際に、お客様との関係が大きくこじれてしまった場合、責任者の謝罪では足りず、最終的に役員の人が出ることも少なくありません。

 

クレームが大きくなってしまうケースは、次のようなことをしているときに多くなりがちです。

 

・謝らないままに対応策を提案

・他人事のような対応

・何がいけなかったのか汲みとらず、その場をやり過ごすために謝るだけで、お詫びの姿勢が見られない

 

このような対応は、火に油を注いでしまいます。

まず、最初の段階で担当者がきちんとクレームに対して謝罪をすることが大切です。

 

■謝罪の主旨を明確にしよう

 

謝罪するときには、何について謝っているのかを明確にすることも重要です。

そのうえで、お客様の気持ちに共感しながら事実を確認し、今後についての提案をしていきます。

 

「このたび、〇〇の不手際でお客様にご迷惑をおかけしてしまいました。大変申し訳ありません」

「従業員の対応でご不快な思いをさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」

 

そのあとに、

「今後はこのように対応させていただきます」

と提案していきます。

 

クレームを受けたときは、まず相手の怒りに振りまわされずに適切な対応をしたいものです。

直接対面している場合は、頭を下げて表情や声でも謝罪の気持ちを伝えます。

電話であれば、「このたびは申し訳ありませんでした」と気持ちを込めて謝りましょう。

 

■クレームに対しては落ち着いて傾聴する

 

お客様が気持ちを話しているときは、こちらが落ち着いて聴くことが大切です。

謝るときは

「わたくしが対応いたしますので、恐れ入りますが詳しく状況をお聴かせいただけますか」

と、相手の話をヒアリングすることも欠かせません。

 

そのうえで、

「そうですよね。そんなことをされたらご不快な思いをなさいますよね」

「いつ対応してもらえるのかとご心配になりますよね」

と、お客様の気持ちに共感しながら事実を確認します。

 

そして改めて

「本当に申し訳ありませんでした」

と謝罪をしましょう。

それから、

「わたくしどもとしましては、このようにしていこうと思っておりますがいかがでしょうか。具体的には…」

と今後についての提案をしていきます。

 

相手の話にしっかり耳を傾けることで、お客様に落ち着いていただくこともできるのです。

 

クレームの初期対応時には、最初に相手の気持ちをしずめる謝り方ができるかどうかが大きく左右します。

何よりも先に、

「ご迷惑をおかけして申し訳ない」

と謝罪できていなければ、お客様がもともと怒っていた原因よりも、

「あなた、反省していないよね!」

「悪いと思ってないよね!」

と、さらなる怒りを生んでしまいます。

 

まずは、相手に怒りを増長させないように謝罪をし、気持ちをしずめる傾聴法を身につけていきましょう。

 

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