日付:2024年07月10日
■まずは、相手の要求を理解しよう
何かを交渉する際、相手の話に十分耳を傾けていますか?
交渉は、相手の要求とこちらの要求が一致せずに、食い違うことから起こるコミュニケーションです。
自分の意見を主張するだけではなく、いったん相手の話を受けとめることが大切です。
ところが、自分の要求と相手の要求が食い違っているとき、つい、
「おっしゃることはわかりますが…」
「いや、そうは言っても…」
「ですが…」
と否定的な反応をしてしまう人もいます。
こちらが反論したり、否定的な言葉を使ったりすることで、相手は
「この人は、わたしの話を一度も受けとめてくれなかった」
という印象を抱くものです。
「あなたの言うことは正論だとは思うけれど、一方的に主張し、こちらの話を理解しようともしない人の話には、耳を傾けたくない」
と相手を不快にさせ、交渉がうまくいかなくなってしまったケースもあります。
交渉時は、とくに相手の話に対して同意はできなくても、
「〜ということですね」
「〜してほしい、ということですね」
と、ひとまず理解したことを示しましょう。
そして、相手の話を最後まで聴く姿勢を見せることが、コミュニケーションでは大切なポイントです。
■アクティブ・リスニングは、交渉時にも活用できる
交渉の場で何かを要求されたとき、なぜ相手がそのことを求めてきたのか、意図を理解できていることが重要です。
ですから、相手の話を受けとめたあとは、
「こういった理由から、こうしてほしいということですね」
「この条件を受け入れてほしいというご要望なのですよね」
と質問して、相手の話を確認していきましょう。
交渉の場面でも、相手に話を聴いていることがわかるように表現する「アクティブ・リスニング」が有効です。
相手の言わんとすることを正確に理解し、ときに質問をしながら話を引き出します。
そして、共感しながら受けとめ、耳を傾けることが大切です。
「この条件については、どうしてそのように思われたのか、事情などもお知らせいただけませんか?」
「こういった納期で取り組んでほしいというご要望を伺ったのですが、それはどういったご事情があってのことでしょうか?」
このように聴こうとする姿勢を持つことが、スムーズな交渉につながります。
人は誰でも「自分の話を聴いてほしい、耳を傾けてほしい、理解してほしい、共感してほしい」と思うものです。
そして、自分の話を聴いてくれる相手に好意や信頼感を抱きます。
交渉などを行うときにも、「アクティブ・リスニング」を意識することがおすすめです。
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