日付:2024年04月1日
■最後まで相手の話を集中して聴く
講師育成の研修などをすると、研修時や講演時の質疑応答の時間への対応に不安を感じている人が大勢いることを実感します。
過去にうまく回答できずに失敗したことがあり、質疑応答に対しての苦手意識があるという相談も、少なくありません。
苦手意識を持った状態で応対すると、質問を受けた瞬間から恐れと不安にとらわれてしまい、相手の話に十分に耳を傾けられなくなります。
すると、余計に質問者が納得できない状況に陥りやすくなるのです。
これは、講師だけでなく、面談をする上司にも通じる話ではないでしょうか。
■ときには踏み込んで相手の言いたいことを理解する
相手の質問の意味がよくわからないことは、決して少なくありません。
質問を受けたら、まず相手が何を聴きたくて、何に困っているのかということに意識を向けてみてください。
「何に困っているの?」
「どういうことを聴きたいの?」
ということを理解しようとしながら相手と対峙することが、質疑応答には不可欠です。
「早く話そう」「早く答えよう」「うまく回答しよう」ということばかりに意識が向くと、相手の質問の意図を汲み取りきれず、的外れな返しになってしまうのです。
×「この人の質問にどう答えようか」
と思いながら聴くのではなく、
◎「理解しよう」
と思いながら、まずはしっかり聴くことに徹しましょう。
もし相手の質問内容を理解できているか不安になったら、
「◯◯についてのご質問ということでよろしいでしょうか」
と確認をするのも有効です。
質疑応答への苦手意識から、質問者に一歩踏み込んで聴くことができない人もいます。
でも、なぜその質問をしてきたのか、「背景」についても聴かなければ、質問の意図を汲み取れないときもあるのです。
そういったときこそ、相手の話を引き出し、共感しながら耳を傾ける、アクティブ・リスニングを活用してみるといいでしょう。
■質問の意図を確認しながら傾聴する
講義がうまくいったとしても、質疑応答が嚙み合わないことで、一気に参加者からの信頼を失ってしまうことがあります。
本当によくわからないことを言っている人に対峙した場合は、質問者に、
「○○さんのご質問を正確に理解して、適切な回答ができればと思っていますので、いったん、確認しながら整理してもいいですか?」
と、尋ねてから整理し始めます。
「○○というご質問ですか?」
「いま知りたいことは、こういうことがあって、〇〇ということでしょうか?」
などと要約し、質問しながら相手が傷つかないように話を整理しましょう。
「言っていることがよくわかりません」
と率直に返してしまう人もいますが、それでは相手を傷つけてしまうかもしれません。
「○○さんのご質問内容を正確に理解したいので、もう一回わたしが整理してもいいですか?」
といった声かけから確認する配慮も大切です。
講義の内容ももちろん重要ですが、質疑応答の場面でも相手の話に対する傾聴力が必要になります。
相手の言いたいことを確認しながら正確に理解し、伝わるように表現していくためにも、アクティブ・リスニングを取り入れていきましょう。
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