日付:2024年03月20日
■「聴いている」表現ができると、心理的安全性につながる
「アサーティブ・コミュニケーション」とは、相手も自分も大切にした自己表現、自己主張のことです。
自分の伝えたいこと、わかってほしいことを率直に、正直に、相手や自分を責めることなく伝える手法なのですが、この中には「相手の話を聴いている」と相手に伝わるように表現することも含まれます。
心理的安全性の実現を重視する組織も多くなったからか、
「どんなことでも、率直に発言してほしい」
と、うながすリーダーも多くなりました。
ただ、発言する前に、「相手の意見に耳を傾ける」という土台がなければ、良好なコミュニケーションは成立しません。
まずは、ポジションパワーのある人が傾聴を意識することが「ここでは意見に耳を傾けてもらえるんだ」という、安心感をチームメンバーに抱いてもらえる土台づくりになります。
■普段から「聴く表現」を意識しよう
ある研修先の企業では、1年前に就任した社長(50代前半)が、
「何でも気づいたことや、提案があれば言ってほしい」
と投げかけてくれてはいるものの、部下からはハードルが高いと思われていました。
それは、社長がいつも忙しそうで、何か報告するたびに、
「もっとロジカルに、整理してから報告してね」
と、威圧感のある表情で返されてしまうからでした。
このような反応では、いくら「何かあったら言ってくれ」と言われても、発言できませんね。
とくに、ポジションパワーのある人ほど、
「あなたの話を聴きます。聴きたいです。聴いています」
ということを、威圧的でない形で表現する必要があります。
・普段の表情は怖くないか
・話しやすい雰囲気になっているか
・声をかけられたときの表情は穏やかか
これらは、とくに意識したい点です。
■「聴く姿勢」は無意識のときにもあらわれる
「○○さん、ちょっといいですか?」
と不意に声をかけられたときの表情にこそ、素の状態があらわれます。
表情は重要なポイントになりますから、リーダーや上司の立場の人だけでなく、部下、若手の人も自分を振り返ってみてください。
仕事だけでなく、親子やパートナー関係でも意識すると、よりよいコミュニケーションにつながります。
・こちらを向かない
・面倒くさそうな表情をしている
・いかにも嫌そうな顔をしている
・目を合わせない
このような反応の人には、誰でも話しかけるのをためらってしまいます。
話しにくいと思われないように、相手に呼びかけられた瞬間から、聴く姿勢を心がけることが大切です。
「あなたの話を聴きますよ」という表現を、定着させていきたいものですね。
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