日付:2024年02月10日
■その場に適した聴き方をするには
相手の話を聴くといっても、人数や場面によって気をつけることが違います。
マンツーマンの場合の傾聴のポイントは、じっくり相手のペースやトーンに合わせて聴く姿勢をとることです。
とくにオンラインの場合は、できるだけカメラの方向に目線が合うようにやり取りをする意識を持つといいでしょう。
カメラの位置が影響しているのか、オンラインで相手の話を聴くときに、目線がまったく合わない人がいます。
頷きや、相槌を返すことはしているけれど、横を向いている姿しか見えないので、どんな表情で聴いているのかわからないという人もいます。
そうなると、人によっては不安を覚えることもあるでしょう。
わたしはオンラインでやり取りをする際、メインのパソコンの横にもう1台の記録をとるためのパソコンを置くことがあります。
その際、画面越しの相手には見えていないので、
「こちら(右手側)のパソコンでメモをとることがありますので、時折そちらを向くのはそのためです。どうしてそちらを向くことがあるのか……と思う方がいるので、先にお伝えしておきますね」
とお知らせしています。
ファシリテーター役を務める場合には、全体を見渡してまんべんなく質問や投げかけができるような配慮が必要です。
■話し手に意識を向けて集中して聴く
相手が話をしているときには、とにかく耳を傾けることが欠かせません。
そうは言っても、会議やミーティング時に自分が話す順番が近づいてくると、何を話そうか頭のなかに思い浮かべながら過ごしたり、手元の資料を見返そうとしたりしてしまい、話し手に意識を向けられないこともあるのではないでしょうか。
また、長時間人の話を聴いていると、つい余計な思考が働いて、違うことを考えてしまうこともあるかと思います。
研修中に、受講者を指名して意見を求めたとき、
「あ、すみません。うっかりしていました。何についての質問でしょうか……」
というリアクションをされたのは、一度や二度ではありません。
長時間にわたって聴くことに集中するのは、エネルギーを要します。
対策としては、集中して聴かなければいけないとき、「傾聴!」「集中!」と意識してスイッチを入れるのが得策です。
■奇をてらった質問は不要
時々、その場を盛り上げようとしたり、注目されようと思って、突拍子もないことをあえて言う人も見受けられます。
ところが、突飛な質問をすることで、質問された側が戸惑ってしまったり、
「何を言っているのだろう……?」
と驚いて話が深まらなくなってしまうことがあります。
話を深めたいのであれば、わざわざ奇をてらった質問をするよりも、相手からより深遠な話を聴き出せるように、寄り添って傾聴したり共感したりするアクティブ・リスニングを意識するほうがおすすめです。
どのような場面でも、相手の話していることに集中して聴くことは変わりませんが、シーンや人数によって、気をつけるポイントが異なります。
相手や場面に合わせた傾聴法を身につけていきたいものですね。
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