日付:2023年06月10日
■主観ではなく事実を伝える
自分が攻撃的だという自覚がない人と話をして、こじれてしまった経験はありませんか?
攻撃している自覚がない人と関わる際に気をつけたいのは、まず、事実を共有することです。
こちらの主観が入ってしまうと、
「そんなことは言っていない!」
「それは、あなたの主観ですよね!」
と相手が反論してくることがあります。
自分の思い込みで、話を切り出してしまわないように、伝え方には注意が必要です。
改善に必要なことについてのみ、触れるようにしましょう。
(例)部下や同僚、上司に対しても厳しい言い方をしてしまう人へ注意をする場合
企業で中間管理職を務めるDさんの部下が、同僚や後輩に対して、
「本当に、おまえは使えないな」
と、とても乱暴な言い方をしたことがありました。
先輩に対しても
「それは無理ですよ」
「なんで、◯◯さんはこんなこともできないんですか!?」
と、人が傷つくようなことを平気で言うので、
「そこまで言わなくても…」
と発言すると
「当然のことでしょう。向こうがいけないんじゃないですか!」
と返事が返ってきます。
Dさんは、どう言えばいいのかわからないと困っていました。
このようなタイプを相手にするときには、まず曖昧なことや主観で決めつけた表現はしないことが大切です。
×「◯◯さんは、同僚に厳しいことを言うよね」
×「いつも相手を傷つけるような言い方をしていることをわかっている?」
このように言ってしまうと、
「厳しく言ったつもりはありませんが!」
「いつも…って。わたしが、いつも相手を傷つけるようなことを言っているというんですか?」
と応戦される可能性があります。
これは、「厳しいこと」「◯◯さんを傷つけることを言う」ということが、主観になってしまうからです。
そうならないために、このように伝えてみてください。
◯「◯◯さん、お願いしたいことがあるのだけれど、□□のときに、『本当に、使えないな』『△△さん、こんなこともできないのですか!』という発言があったことを覚えている?」
まずは実際に相手がしていた発言を伝えて、事実を確認していきます。
そして、
◯「一緒に働いているメンバーもさすがに気にしてしまうし、きついと思う人がいるのも事実だから、そんな言葉は言わないでほしい」
◯「せめて、『◯◯のように動いてくれないかな』と、してほしいことをお願いするような言い方をしてほしい」
こう伝えていくのがいいでしょう。
周囲に対して攻撃的な態度をとる人には、自分に落ち度があったり、ダメだと言われたりすることで、過剰に反応する傾向があります。
なかには、逆ギレをしてくる人も…。
「だって、あの人が本当に仕事ができないから!」
と、誰かのせいにすることもあります。
そういう場合も冷静に、
◯「●●の発言があったことが気になった。今後は□□のようにしてほしい。同じ部署で働くチームの一員だからこそお願いをしたい」
というように事実を伝えます。
そして、誰かのせいにしたことは責めず、今後してほしいことについて伝えることが得策です。
■相手を責めず、端的に要望を伝える
攻撃的なタイプと関わる場合、責めるように言ってしまうと、かえってムキになってくることも多いので要注意です。
×「◯◯がこんなふうに言うから、皆が傷つくんだ」
×「皆があなたのことを◯◯と言っている」
という表現は避けて話しましょう。
事実を確認して、実際に言ったことや行動したことを伝え、
・今後はこうしてほしい
・それは何のためなのか
ということだけ明確に伝えるのがポイントです。
エスカレートしないためには、ただこちらの意見を伝えるだけでなく、
◯「そういうふうに言うからには、◯◯さんにも言い分はあるよね」
と、相手の思っていることに耳を傾ける配慮も必要です。
そうすると、
「あの人の仕事が遅い。同じことを何回もやらせる」
といった不満が出てくることもあります。
そのような相手の言い分も聞いたあとに、
◯「そういうことがあったから、あの言葉やあの態度になったんだね。とはいえ、一緒に仕事をしていくためには、うまく伝えないと◯◯さんの仕事もスムーズにいかなくなることがわかるよね。だから、さっき言ったような言葉は使わずに仕事をしていけないかな」
と伝えていきます。
あまり長くやりとりをすると、また何かを言ってくることがあるので、
◯「こういうことをわかってほしい、ということだからね」
◯「今回の話は、このことを伝えたかっただけだからね。あとはよろしくね」
と終わりにしましょう。
相手の事情も聞く必要があるので、時間は5〜10分程度を目安にして、それ以上は時間をかけないように、うまく切り上げましょう。
■誤解を解く際にも、冷静に事実を確認する
わたし自身にも経験があることですが、仕事をしていると、
「君が◯◯をしたんだろう! 君が◯◯を確認しておかないからだ!」
といった、避けられないもらい事故のようなことが起こるケースもあります。
そんなときには、
◯「誤解があるかもしれないので、まずは、事実の確認をさせてください」
◯「じつは、わたしが任されたことではないので、まず確認させてください」
と伝えましょう。
ここでいきなり、「わたしではありません!」と反撃してしまうと、相手もカチンとくることが想像できますね。
その場で、
「わたしのせいにしないでください」
と言い返すことで、話がこじれてしまうこともあるのです。
◯「これはわたしが任されたことではなく、◯◯に□□までしてくださいと言われています」
◯「わたしはどうしたらいいでしょうか。何ができますか?」
と冷静に伝えていきましょう。
このようなときほど、伝え方には気をつけていきたいところです。
攻撃している自覚がない人と関わるときにも、スムーズなコミュニケーションをとれるように、ぜひ参考にしてみてくださいね。