-COLUMN-

自己受容が円滑なコミュニケーションのカギになる

日付:2019年09月17日

■自分のいいところもそうでないところも受け容れられていますか?

「自己受容」という言葉をご存知ですか?
「自己受容」とは、自分のいいところもそうでないところも、自分で把握し、受け容れることができている状態のことをいいます。

自分の欠点まで受容できているということは、とても大きなポイントです。
「人の話を聴くのが得意」「コツコツ作業するのが苦にならない」といったいいところは、自分でも認めやすいものですが、たとえば「人前で話すことが苦手」「落ち込みやすい」といったマイナスの一面も、「自分自身の一部なんだ」と受け容れることができている人は、じつはあまり多くないかもしれませんね。
プラス面もマイナス面も、両方をそのまま認めることができて、はじめて自己受容ができているといえるのです。

自己受容ができていると、自分の欠点に気づいたときでも、「私にはこんな苦手なところもあるけれど、人としての価値が下がるわけではないな」と思えます。
さらに、自分を信頼する力(自己信頼)も生まれます。

自己信頼の気持ちがあると、課題にぶつかったときも、
「きっとできるはず!」
と前向きに取り組むことができるのです。

一方で、自己受容と間違えられやすいのが、「自惚れ」です。
自惚れとは、自分のいいところには目を向ける一方で、できていないことをまわりから指摘されたときには受け容れられない状態のことをいいます。
自惚れていると、何か問題が起こったとき、言い訳をしたり、相手を非難したり、誰かのせいにしてしまったりします。

この自惚れの状態が続くと、まわりの人たちから、「あの人はめんどくさい」と煙たがられてしまうことも…。自惚れと自己受容・自己信頼を混同しないようにしたいですね。

■いいコミュニケーションは、対等な関係性で成り立つ

では、そもそも自己受容ができていないと、何がいけないのでしょうか?
ひと言でいうと、相手とコミュニケーションをとる際に対等に向かい合うことができなくなります。

対等に向かい合えないことで、結果的に、相手を責めるような攻撃的な態度をとってしまったり、言いたいことを言えなくて遠慮してしまったり…と、気持ちのよいやりとりができなくなってしまいがちです。

攻撃的な態度をとる人は、一見自分に自信があるように見えたりしませんか?
自分に自信があるから、上からものを言うような態度をとっているように映ります。
ところが、実際はその逆で、じつは自己受容度が低いのです。

自分の主張が通らないと、「認められてないのではないか…」という不安を抱きがちだからこそ、相手よりも自分が優位に立とうとして、攻撃的になってしまいます。

ときには、職位や制度を盾にしたり、感情的になったり、威圧的になったりすることで相手をコントロールしようとします。
これは、自分の弱さを防御するための攻撃ともいえますね。

■相手も自分も大切にした対話をしよう

自己受容・自己信頼を土台にしたコミュニケーションの考え方、伝え方に、アサーティブコミュニケーションがあります。
アサーティブコミュニケーションとは、ひと言でいうと、「相手も自分も大切にした自己表現」のこと。

アサーティブコミュニケーションを意識すると、人と話をする際に、立場・年齢・キャリア・価値観の違いがあっても、対等なスタンスで、率直に、思いを伝えることができます。
同時に、相手の意見にも耳を傾け、自分の意見と異なっていても、話し合おうとすることを大切にします。

たとえ相手よりも下の立場でも、相手のほうが優れている部分があったとしても、あなたの人間としての価値は下がりません。
それぞれに、いいところもあれば、よくないところもあります。

自分のすべてを受け容れ、自分自身を信頼することが、相手を認め、相手を信頼することにもつながっています。
人と人はわかりあえると信じて相手と対等に向き合いましょう。

そのためには、まず自分を受け容れ、自分を信頼することからです。