日付:2023年03月10日
■自分で考え、検証するクセづけができるチームが伸びていく
上司やキャリアのある人、専門的な知識を持つ人から意見を言われると、「それが正しい」と無意識に思い込んでしまうことはありませんか?
これは「権威バイアス」と呼ばれ、いわゆる権威のある人(職場では上司や役職者、経験者、専門性が高い人)の発言に対して、何の検証もしないで正しいと思い込んでしまうことを指します。
この権威バイアスが働くと、
「本当はこっちの考えなのでは?」
「こういう方法もないかな…」
と思っていたとしても、役職者やキャリアのある人から違う意見が出てきたときに、
「向こうのほうが正しい」
と無意識に思い込んでしまいがちです。
また、
「こんなふうに考えるわたしのほうがおかしいのかな?」
とブロックがかかり、言うのを躊躇してやめてしまうというケースもよく見受けられます。
権威バイアスの影響を受けた人がチームに多いと、自然とイエスマンしかいない場になってしまう可能性があります。
もちろん、会議などでは、誰が発言するかということも大切な要素のひとつです。
ただ、誰もがいつも100%正しい判断をしているわけではありません。
「あの人が言っていることだから、検証しなくても正しいだろう」
と思い込んでしまうのは、間違った判断をすることにもなりかねないのです。
組織全体が間違った方向に進まないようにするためにも、チームの一人ひとりが考える力を身につけて、自分自身で検証するクセをつけていきましょう。
自分で考え、検証することをクセづけられる人の集まったチームが、この先もどんどん伸びていきます。
■時代の波に乗るために、権威バイアスに気づくことも必要
職場で人と意見が違ったときに、自分の考えがおかしいのではないかと不安に思うこともあるでしょう。
でも、どんな人であっても、常に正しい意見を言っているとは限りません。
自分がいくら未熟だとしても、違う意見を持ったとしても、それでいいのです。
たとえば、最近ではTikTokがビジネスに使われるようになってきました。
時代が大きく変わってきているので、もしかしたら、上層部の人にはなかなか理解できないことも増えてきているかもしれません。
だからこそ、新しい流れを受けとめて、10代や20代の人の感覚を取り入れることも重要です。
組織には多様な人たちが必要ですから、さまざまな声に耳を傾けることは不可欠です。
新しい時代の波に柔軟に乗るためにも、いろいろな人の意見を理解して取り入れつつ、自分で考えることも大切にしていきましょう。
職場内にそういった空気が根づくのが理想的ですね。
■アンコンシャスバイアスは、記録をとると気づきやすい
「アンコンシャスバイアス」は、誰もが持っている無意識の思い込みのことですから、「ある・ない」にこだわるのではなく「気づこうとするかどうか」が大切です。
わたしたち人間は、ネガティブなことが記憶に残りやすい「ネガティビティバイアス」、自分が正しいと実証する情報ばかりを集める「確証バイアス」といった、さまざまなバイアスを持っています。
だからこそ、とっさの判断のときにふと立ち止まり、
「わたしのこの判断に、アンコンシャスバイアスはないだろうか?」
「思い込みで発言していなかっただろうか」
と振り返ることが重要なのです。
その際に、言語化して記録をとることもおすすめです。
「経験のない◯◯さんには、この仕事はできるわけがないと思った」
「年配の方はITが苦手だろうと思った」
というように、記録をとると気づきやすく、傾向もわかるようになります。
■自分が伝えたいことをわかってもらうことをゴールにしよう
相手の思い込みの発言に対して反応するときにも、配慮が必要です。
嫌な気持ちになったときに直球で言葉を返すと、相手と険悪な雰囲気になってしまうこともあります。
たとえば、実際にあった例を紹介しましょう。
男性8人、女性4人ほどの40、50代の役職者や経営者が集う食事会でのことです。
会計のときに、ひとりの男性が、
「女性は◯円、男性は◯円払おう」
と女性と男性を区別したのです。
このように、女性だから負担を少なくするというのもバイアスに当たります。
すると、
「女性だからという考えはしないで、公平の割り勘にしませんか?」
と言った女性がいました。
もし、このような言い方ではなく、
「なぜそこで男性と女性を区別するの? いまの時代、そういうのは古いですよ!」
と反応してしまうと、その場の雰囲気が悪くなり、相手も嫌な思いをしてしまいます。
アンコンシャスバイアスの対処法では、
「それは、あなたのアンコンシャスバイアスでしょ?」
という言い方を避けることが大切です。
ですから、
「これについてはそんなふうにしないで、こうしませんか?」
「そう決めつけずに、こう考えてみませんか?」
という言い方で伝えられるといいでしょう。
他者のアンコンシャスバイアスに対して、
「それは、あなたがアンコンシャスバイアスを持っているからですよね?」
と、責め立てるようなやりとりをすると、揉めてしまう可能性があります。
相手にとっては無意識に言っていることも多く、悪気があるわけではないので、変に攻撃的にするのは避けたいものです。
そのためにも、自分が伝えたいことをわかってもらうことをゴールに設定しましょう。
それだけで、コミュニケーションの表現の仕方は大きく変わってきます。
まずは、自分のバイアスに気づいて、新たな時代の波に乗っていけるといいですね。