日付:2022年10月20日
■非主張的タイプの人が、相手に怒りを感じたときに気をつけたいこと
人のコミュニケーションタイプのなかに、「非主張的タイプ」というものがあります。
ほかのタイプ(攻撃タイプ・アサーティブタイプ)については、これまでのコラムをご覧ください。
非主張的タイプの人は、人に対して言いたいことを言えず、自分をうまく出せない特徴があります。
ネガティブな思い込みを持っているため、自分の思いを伝えられずに相手を困惑させ、コミュニケーションがうまくいかなくなってしまいます。
ではどうすればいいのでしょうか。
非主張的なタイプは、とくに「怒り」に関して、次のようなネガティブな思い込みを持っているケースが多くみられます。
・相手を傷つけてしまう
・相手との関係を悪くしてしまう、嫌われる
・怒ることはみっともない、悪い、大人気ない
こういった思い込みを持っている人ほど、誰かを叱る場面や、やめてほしいと思うことを伝える際に、ネガティブなイメージを抱いてしまいがちです。
「相手との関係が悪くなったらどうしよう…。反発されたらどうしよう…」
「注意したり、叱ったりしたら、嫌な顔をされるのでは?」
「わたしはこういう場面ではうまく伝えられないに違いない…」
「『こんな些細なことで怒っているの? こんなことまで気にするの?』と思われたら嫌だ」
このように、勝手にネガティブな想像を膨らませて、非主張的な表現をしてしまうのです。
でも、これらの想像は思い込みにすぎないことも…。
そもそも、怒ること自体、悪いことではありません。
適切な表現の仕方をすればいいのです。
ネガティブな思い込みを手放せるようになると、コミュニケーションのとり方も大きく変化するでしょう。
「適切な表現ができれば相手に伝わる」
そう信じて相手と向き合うことも、大切なのです。
■「察してほしい」では大事な部分は伝わらない
非主張的な表現をする人は、
「あのときこう言っておけばよかった…」
「なんでうまく伝えられないのだろう…」
と自分を責めてしまうところもあります。
このクセは少々厄介で、自分を責める気持ちが心に溜まっていくと、
「どうしてあの人はわかってくれないんだろう。察してくれればいいのに!」
「あなたのことを思って言わずにいたのに!」
と、次第に心のなかで相手を責めることにもなりかねません。
やがて我慢が爆発し、ある日突然
「なんでわかってくれないんですか!?」
と、我慢した怒りを感情的にぶつけてしまう人もいます。
こうなってしまうことのデメリットは、相手に
「なぜこうなったのか、何を伝えたかったのか」
という一番重要な部分が伝わらないことです。
ほかにも、理性が働いて職場で当事者に怒りを爆発させることは避けられても、その怒りを八つ当たりしやすい人にぶつけてしまうというケースもあるので、注意したほうがいいでしょう。
本当の「いい関係」とは、何がOKで何がNGなのかを伝え合える関係であること。
我慢をして、自分を責めたり、相手を責めたりしないコミュニケーションを身につけていきたいですね。
■自分の思い込みと周囲が受けとっていることの違いに気づこう
「こんなことを言ったらどう思われるんだろう…」
と常に不安になり、相手に率直に言えないことが続くと、本人はもちろん、まわりの人にもストレスが溜まっていきます。
実際、わたしが研修時、非主張的な表現をされたらどう思うかを受講者に尋ねたところ、次のような回答が返ってきました。
・何が言いたいのかがわからずに戸惑ってしまう
・「率直に言ってくれればいいのに…」
・「で? 何が言いたいの?」とイラッとしてしまう
・イライラして相手に詰め寄ってしまうかもしれない
・「わたしがこうさせているのかな? 信頼されていないのかな?」と悲しくなる
・こちらに察してもらおうという気持ちが見えて、ずるいと感じる
・こちらが優位に立って、コントロールできそうだなと思う
…これらの回答をまとめると、非主張的な人の多くが
「相手との関係を壊したくないがために、場を配慮して非主張的な表現をしている」
と考えているのに対し、周囲はそう受けとっていないということです。
非主張的な表現は、相手に気をつかわせて困惑させ、イラッとさせてしまうこともあります。
かえって相手を攻撃的にしたり、相手にマウンティングさせてしまったりする原因にもなっているのです。
「表現を改善したら、相手とのやりとりが変わった」
という声が研修でも多いので、心当たりのある人は、アサーティブな言い方のトレーニングを重ねることをおすすめします。
経験を積んでいくと、自分の意見も伝えながら、相手への配慮ができるようになるでしょう。
まわりの人たちと、いい関係を築いていけることを願っています。