-COLUMN-

組織の生産性を上げるために…伝わる言い方をするには?

日付:2022年09月20日

■攻撃的な言い方をしていないか振り返ろう

 

自己表現には大きく分けて3種類あります。

・アサーティブな自己表現

・攻撃的な自己表現

・非主張的な自己表現

 

あなたは、どれに該当しますか?

 

アサーティブなコミュニケーションというのは、お互いの立場や主張を大切にした、自己主張・自己表現のことをいいます。

 

自分自身が、どの自己表現をすることが多いのかということを、知ることが大切です。

どの場面で、どの表現をすることがあるのか、振り返ってみましょう。

 

攻撃的な自己表現とは「相手を抑えて自分の言いたいことを通す自己表現」です。

このタイプの人は、解決に向けて相手と話し合ったり、対話をしたりするのではなく、自分が優位に立つために相手をコントロールし、ねじ伏せようとします。

「コミュニケーションのゴールは勝つこと」

と思う傾向があり、相手の意見や考え、要望が自分と違うとわかった瞬間に攻撃的になることもあります。

 

思い当たる人は、普段、次のような表現をしてしまってはいませんか?

・自分の言いたいことを通すために、威圧的・感情的な態度をとる

・自分の言いたいことを一方的に言い、押しつける

・相手の話、気持ちには耳を傾けない、理解しようとしない

・理詰めで追い込む(相手が反論できないように、外堀を埋めて論破しようとする)

・「これは決まりですから!」と、説明を抜きにして、制度を盾にしてねじ伏せようとする

・「こちらの言うことが聞けないのか」とポジションパワー(職位など)をちらつかせて、コントロールしようとする

・思い通りにならないと、声を荒げて「いいからやれ!」と威圧的に相手を抑え込もうとする

 

また、部下や後輩を叱る(注意する)ときには、感情的に怒鳴ったり、

「前回も同じようなミスをしたよね?」

「前も謝って気をつけると言っていたけれど、それから気をつけた? 注意が足りていないから何度も繰り返すと思わない?」

と、反省している相手を追い詰め、相手を打ち負かす表現をする。

これらも、攻撃的な自己表現といえるでしょう。


 

■相手を萎縮させては、心理的安全性を実現できない

 

ほかにも、思い通りにならないときに、八つ当たりをするケースもあります。

 

たとえば、部屋を出ていくときに大きな音を立ててドアを閉める、物を蹴る、書類を叩きつけるといった行動のほか、聞こえるようにため息をつく、舌打ちをする、音を立てて仕事をするなど、相手が気にするような行動をとってしまう人も…。

 

このような関わり方をすることで、自分の思い通りに物事が進むこともあるかもしれませんが、多くの場合、相手を萎縮させ、反発心を抱かせてしまうでしょう。

これでは相手との信頼関係を築けず、職場の心理的安全性を実現させることはできません。

 


 

■非主張的な表現をする人はストレスを溜めてしまいがち

 

次に、非主張的な自己表現とはどういったものなのか、説明していきましょう。

非主張的な自己表現とは、「自分を抑えて相手を立てる自己表現」を指します。

「こんなことを言ったらどう思われるかが気になる」

「どうせわかってもらえない」

「波風を立てたくないから言わないでおこう」

「どうせわたしはうまく伝えられない」

このような思い込みから、言いたいことを率直に言えないということはありませんか?

 

非主張的な表現には、次のようなものがあります。

・遠回しな言い方をする

・言いにくいことを語尾まで言わない

・過度にへりくだる表現や、自己防衛的な言い訳をする

・我慢が重なると爆発することがある

 

このような表現をする人は、言いたいことを言えない傾向があります。

言ったとしても相手に伝わらないため、ストレスを感じることが多いのではないでしょうか。

 

たとえば、上司から書類整理を命じられた際、別の先輩社員から

「どこに何があるかわからなくなるから、勝手に動かさないで!」

と怒られてしまったとします。

そのとき、相手の剣幕に圧倒されて、上司の指示があったことを言い出せず、その思いがしこりのように残ってしまう。

そしてあとから

「なぜあそこまで言われなくてはいけないのか」

という怒りに変わり、その先輩を嫌いになってしまった…。

こういう経験をする人が少なくありません。

 

非主張的な自己表現をしがちな人の多くは、率直に伝えることが苦手です。

そして、その表現の仕方には特徴があります。

一例を挙げれば、依頼した仕事の期日を過ぎている人に対して言葉を投げかけるとき、「期日は守ってほしい」とストレートに伝えずに、次のような表現をしてしまいがちです。

 

〈遠回しな言い方をする〉

「依頼した資料の作成だけど、いまどの程度進んでいるの?」

「急かしているわけではないので、気にしないでね」

「忙しいと思うから、どんな様子かなと思って」

「期日が過ぎているから、どの程度まで進められたかなと思って…」

 

〈語尾まで言わない〉

「◯◯さん、この前依頼した資料、期日を過ぎているんだけど…」

 

このような表現をしている人は、自分の言いたいことを率直に相手に伝えられないため、ストレスを溜めてしまいがちなのです。

 

いかがですか。

攻撃的な自己表現、非主張的な自己表現、八つ当たりをしてしまうなど、思い当たる表現の仕方はありましたか?

 

組織の生産性を上げるためにも、自分がどういった自己表現をしているか、振り返ってみるといいかもしれません。

 


 

*アサーティブ・コミュニケーション(日本経済新聞出版)好評発売中!*