日付:2022年11月20日
■「心のなかでは対等である」ことを意識しよう
これからの時代、お互いの意見を尊重しながら主張するには、どんなアサーティブなコミュニケーションが求められるでしょうか?
アサーティブになるために欠かせないのは、相手と対等な気持ちで向き合うことです。
とくに組織の場合は、役職の違い、立場やキャリアの違い、スキルの有無、知識の浅さ深さ…といった上下関係が明確にわかっている分、コミュニケーションをはかる際には、対等の関係を意識することが何よりも大切になります。
とはいえ、ここでお伝えしたい「対等」とは、立場の違いを越えてなれなれしい言葉を使うことではありません。
立場が上の人、キャリアの長い人に対して、
・意見を言ってはいけない
・改善要求をしてはいけない
・疑問や反対意見を言ってはいけない
こういった考え方にとらわれないことが、「対等」なコミュニケーションをとるために不可欠なのです。
「相手とわたしは、コミュニケーションをとる場では対等なのだ」
と心のなかで思えるといいでしょう。
反対に、自分のほうが高い立場にいるときや、キャリアが長いときには、
「こちらの意見や判断のほうが正しい」
「相手が言うことを聞くのは当たり前だ。わたしに従うべきだ」
と思い込まないよう、注意が必要です。
たとえ、立場に違いがあっても、相互尊重のもとに、伝えたいことは伝え合えること。
必要以上にへりくだったり、コントロールしようとしたり、押しつけようとしないこと。
これらを心がけることが、「心のなかでは対等である」という状態なのです。
■心のなかでへりくだりすぎると、話の内容は伝わらない
アサーティブなコミュニケーションをとるには、言葉や文言を整えるだけでなく、対等な気持ちで向き合うことが不可欠です。
たとえば、自分の考えを相手に伝えるときに、
「わたしの立場でこんなことを言ってもいいのだろうか…」
「わたしのほうがキャリアも知識も浅いのに、こんな意見を言うのはおかしいのでは?」
このように、必要以上にへりくだったり、ひるんだり、不安や恐れの気持ちを抱えてしまったりする人は多くいます。
ネガティブな心持ちのままコミュニケーションをとると、話の内容よりも、心情のほうが相手に伝わってしまうのです。
せっかく自分の伝えたいことを整理して話したのに、
「こちらの考えを受けとめてもらえなかった…」
といったことにもなりかねません。
相手からするとおどおどしている様子、自信がなさそうな様子、あきらめているような様子の印象のほうが勝ってしまうため、どうしても話の内容が耳に入りにくいのです。
円滑にコミュニケーションをとるには、話す内容のほかに、自分がどんな心情で話しているのかということにも意識を向けてみましょう。
■相手を見下すような気持ちは、言葉にしなくても伝わってしまう
へりくだるのとは反対に、見下すような気持ちも相手に伝わってしまいます。
たとえその場で責めるような言葉を言っていなかったとしても、
「この人は、何をバカなことを言っているのだろう」
「こちらの言うことを素直に聞いていればいいのに。この人は何を言ってもわからない人だ」
…といった気持ちを抱えていると、言葉にしなくても、相手に威圧感を与えてしまうこともあります。
相手が敏感なタイプなら、
「この人は、わたしをねじ伏せようとしている!」
と、感じとってしまうでしょう。
このようなコミュニケーションのとり方では、心から信頼し合って対話する関係性を築くことはできません。
さまざまな違いがあったとしても、自分も相手も尊重することは、人とコミュニケーションをとるうえでも、組織の心理的安全性を実現するうえでも、欠かせない要素なのです。
心のなかでは平等であるように、相手と対等なコミュニケーションを心がけたいものですね。