日付:2023年11月1日
■相手が話しづらい態度をとっていませんか
あなたは、人の話を聴くときに、自分の態度を意識していますか?
聴くときの態度を意識していない人は、驚くほど多いものです。
わたしがさまざまな職場でコミュニケーションの研修を実施する際、どのような態度だったら話しづらいか、あえて考えてもらったことがありました。
ディスカッションを行うと、腕を組む、頰杖をつく、背もたれに完全にもたれかかる、目を合わせない、貧乏ゆすり、ペン回しなどの落ち着きのない態度、パソコンや書類を見ながらの「ながら動作」をする、といった例が挙がります。
ただ、その悪い例に対して、
「普段、こんな態度は絶対していない」
と言いきれる人はほとんどいません。
誰でも、何かしらの心当たりがあるものです。
また、オンライン上でも、聴いているときの姿は、想像以上に見られています。
自分が話すときの態度や表情を意識している人は多いのですが、他人の話を聴くときの態度や表情には、驚くほど無頓着な人が多いということです。
・顔の半分しか画面に映っていない
・背もたれにもたれかかっている
・メモをとっているわけでもないのに、ずっと下を向いている
・目をつむって寝ているように見える
・眉間にシワがよっていて、表情が怖い
・何かほかの作業をしているように見える
・電話をしている
残念ながら、こういった態度をとっている人もいます。
自分の姿が画面に映っているのですから、聴いている姿勢がどう見られているのか、改めてチェックしてみませんか?
■オンラインでも、「アクティブ・リスニング」を意識する
以前、ある企業の講座で、居眠りをしていると思っていた人から、
「聴き入っていました」
という感想をいただいて驚いたことがありました。
オンライン研修に登壇したときや、受講者として参加したときには、歯磨きをしながら聴いている人、メイクをしている人、パソコンを持ったままトイレに入ってしまう人もいました…。
ここまでくると、さすがに珍しいケースではあるものの、無頓着な人は想像以上に多いのです。
非常識な態度で聴く人は、話し手の立場になったことのない人ではないかと思います。
スピーカー役・講師役を務めることの多い人ほど、話しているときに聴き手の一人ひとりが目に入ること、聴き方が与える甚大な影響のことをわかっているものです。
そのため、自身が聴き手になったときには、気をつけているという話をよく耳にします。
9月10日のコラムでもお伝えしましたが、アクティブ・リスニングは、直訳すると「積極的傾聴」を意味し、次のような解釈をすることができます。
・相手に話を聴いているということがわかるように表現できること
・相手の言わんとすることを正確に理解し、ときには質問しながら話を引き出し、共感しながら受けとめられること
聴き役の多い人ほど、聴いている人の表情や姿勢が話し手にどれほど影響を与えるか、アクティブ・リスニングを意識して場に参加してみてはいかがでしょうか。
相手が話しやすい態度を踏まえて、お互いに気持ちよく充実した時間を過ごしたいものですね。
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