-COLUMN-

攻撃的なタイプの人に意見を伝える際、準備しておきたいこと

日付:2023年05月20日

■事前に伝えたいことを書き出して整理しよう

 

攻撃的な人に意見を伝えなければいけないとき、尻込みしてしまうことはありませんか?

とくに、非主張的な人が、攻撃的なタイプに何かを伝える場合、緊張してしどろもどろになり、結局言えずに終わってしまうことが多いものです。

「話しかけにくいな…」と思うときは、事前に伝えたいことを準備しておくのがおすすめです。

 

まず、2023年4月1日のコラムでもご紹介したように、伝えたいことをその都度書き出して、整理しておくことが事前準備の1段階目です。

とくに非主張的な人は、自分の考えを明確にできない傾向があるので、

・◯◯をわかってほしい

・◯◯について□□してほしいと言いたい。それは△△だから…

といったように、

・何をわかってほしいのか

・その理由

という点を、明確にしておいたほうがいいでしょう。


 

■書き出したことを言い慣れておく

 

2段階目では、用意したフレーズを言い慣れておくようにします。

非主張的な人の場合、言葉が出てこなかったり、話が長くなったり、語尾が不明確だったりして、「明確かつ端的に伝える」ことが苦手なケースをよく目にします。

その分、準備が必要なのです。

 

言い慣れていないフレーズならとくに、紙に書き出すだけでは不十分です。

そのため、わたしは「声に出して言う」という、ひとりロールプレイング練習をおすすめしています。

 

緊張していると、たとえ練習したことでも、本番ではスムーズに言えなくなりがちです。ですから、あがってしまっても、自然と口から出てくるぐらい言い慣れておくようにしましょう。

最初のうちはとくに、ひとりロールプレイングで何度か言葉にしてみる練習が大切です。

 

自動車の教習所でも、練習することなく一般道路を運転することはありませんよね。

それは、コミュニケーションでも同じことです。

何度も練習をすれば、かならず言えるようになるでしょう。

 

実際、研修にて3回ほどロールプレイング実習を繰り返し取り組んでいくと、

「攻撃的な人に対面したときも、練習したことが言えるようになりました」

という報告をしてくださる人が増えていきます。

焦らず取り組んでみてください。


 

■相手のリアクションへの対応まで想定する

 

ひとりでロールプレイングに取り組む際も、相手に伝えたいことをしっかりと書き出すところから始めましょう。

書き出したあとは、相手が言いそうな切り返しの言葉をイメージします。

これを言ったら相手はなんと言ってくるのか、日頃から関わっている相手であれば、なんとなくわかるのではないでしょうか。

 

「◯◯と言い返してくるかもしれない」

「こんなところに反応してきそうだ」

「ここは突っ込まれてしまうだろう…」

このように反応を予測して、どう切り返すかを考えていきましょう。

 

研修では、相手のリアクションへの対応までしっかり想定し、そのうえで伝えたいことを書き出して整理していきます。

普段から考えを整理することに慣れていない人は、「結局、何が言いたいのか」ということにたどり着くまで、かなりの時間がかかるでしょう。

何回も繰り返していくことで、長い時間をかけなくても整理できるようになっていくものなのです。

 

とはいえ、ここまで準備をしても、ロールプレイングで相手役の人を目の前にすると、まったく違うことを言ってしまう人もいます。

なかなか言いたいことがまとまらずに話が逸れてしまう場合は、書き出してまとめたものを何度も確認しながら、口に出すということを繰り返しましょう。

 

慣れるまでには、多くの時間と労力が必要になるかもしれません。

すぐに効果が出なかったとしても、あきらめずに、自分のペースで練習を続けてみてください。

トレーニングすれば、かならずコミュニケーション力は磨かれていくものです。

場数を踏むことで、攻撃的な人を目の前にしたときにも、お互いの主張や立場を大切にしたアサーティブな対応ができるようになります。

根気強く、取り組んでいきましょう。


 

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