-COLUMN-

心理的安全性を実現し、組織の生産性を上げる方法とは?

日付:2022年10月1日

■アサーティブ・コミュニケーションは、心理的安全性実現のための方法

 

コロナ禍になり、ここ数年で働き方が大きく変わりました。

加えて、2022年4月には、大企業に続いて中小企業にもパワハラ防止法の範囲が広がり、とくにマネジメントを担う立場の人々には、ますます対話力が求められるようになってきています。

そういった環境下で注目を集めているのが、「アサーティブ・コミュニケーション」です。

 

アサーティブ・コミュニケーションは、お互いの立場や主張を大切にした、自己主張・自己表現のこと。

1950年代に、アメリカの心理学者ジョゼフ・ウォルピが開発した「行動療法」という心理学療法のひとつです。

 

開発された当時は、主に

・自己表現が下手で社会的な場面が苦手な人

・対人関係がうまくいかないことで悩んでいる人

のカウンセリング方法をして実施されていました。

 

その後、1970年代から1980年代のアメリカで起きた、人種や性の差別に対する人権回復運動のなかで、コミュニケーションの訓練法として広がりを見せ、日本では1982年に平木典子先生が日本・精神技術研究所でトレーニンングを開始(『改訂版アサーション・トレーニング』平木典子著/金子書房)。

やがて新しいコミュニケーション法として、注目されるようになりました。

 

アサーティブ・コミュニケーションをテーマにした研修は、20年以上前からニーズがあり、わたし自身も通年での依頼の多いテーマです。

とくに、ここ2、3年は、パワハラ防止対策・心理的安全性の実現のための方法として需要が高まっています。

 

研修では、

・自分が感じたこと、思っていることを率直に相手に伝えることができる

・相手と自分の価値観に相違があったとしても、耳を傾け話し合う姿勢をもてる

・自分や相手の感情に振り回されたり、相手や自分を責めることなく表現することができる

といったことを目標にしています。


 

■相手との向き合い方を変えれば、相手の受け止め方も反応も変わる

 

「相手に伝える」ために必要なスキルは、言葉や表現だけではありません。

コミュニケーションのトレーニングでは、知識を入れるだけでなく、実際のシーンを想定して、ロールプレイングなどの練習も行います。

 

実際に、ロールプレイングを行った受講生からは、

「多様化する時代に合わせ、コミュニケーションのとり方も柔軟に対応していかなければならないと思った」

「昔ながらの上下関係を盾にしたコミュニケーションではなく、心のなかでは対等に向き合うことが重要なのだと理解できた」

「伝え方、向き合い方を変えたことで、相手の反応にも変化がみられ、関係性がよくなった」

「自分の伝え方のクセやネガティブな思い込みに気づくことができた」

といった声をいただいています。

 

こちらが相手との向き合い方を変えれば、相手の受けとめ方も反応も変わり、コミュニケーションのゴールも変わっていくものです。

ある企業研修では、

「長年染みついたコミュニケーションのクセを変えられるということは、わたしたち組織も変われるし、変わらなければならないと思った」

という気づきを発言した人もいました。


 

■トレーニングでコミュニケーション能力を身につけよう

 

パワハラ防止法の施行もひとつのきっかけとなって、現在ではどの企業でも当たり前のようにコミュニケーションスキルを求められるようになってきました。

アメリカでは、相手に伝える表現を身につけるために、アンガーマネジメントトレーニングのなかで、アサーティブ・コミュニケーションのスキルと考え方が取り入れられています。

 

アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで開発された、怒りと上手に付き合うための心理トレーニング方法です。

怒らないようになるためのものではなく、怒る必要のあることには適切な怒り方ができ、怒る必要のないことには怒らないようになることを目的としています。

 

じつは、研修を実施すると、

「アンガーマネジメントができるようになったあと、具体的にどのように相手とコミュニケーションをとればいいのでしょうか?」

「怒る必要があると判断したときに、実際にどう表現したらいいのかわかりません」

といった相談を多くいただきます。

 

コミュニケーション能力は、トレーニングで身につけられるものです。

立場の違いがあっても、心のなかでは対等に、お互い尊重し合いながらコミュニケーションをとることができます。

アサーティブなコミュニケーションが身につくと、自分もラクになり、チームや組織の結束が自然と増していくことになるでしょう。

そのため、たくさんの人たちにアサーティブ・コミュニケーションの存在を、知ってもらえることを願っています。

 

 

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