日付:2023年02月10日
■思い込みからハラスメントに発展してしまうこともある
後輩や部下に対して、世代による考え方の違いを感じたことはありませんか?
たとえば、
・「お客様から連絡があれば、休日でも対応するよね?」と、営業職の人に休日出勤を強要するような発言をしてしまう
・「営業なのだから足で稼ぐべきだ」と、コロナ禍でも無理やり数字をとるように促す
・「このぐらいのことを叱られて落ち込むようでは、本当に根性がない」と言う
このように、自分のなかで「当たり前」という思い込みから出てきた発言が過剰になって、パワハラにまで発展してしまうことがあります。
実際に、
「女性なんだから、お茶を出すものだ」
というように、決めつけた発言をしてしまったことで、
「それ、セクハラですよね」
と問題になったケースもあります。
そのほかにも、職場の飲み会の場で
「お客様の接待では女性社員がお酌をするものだ」
「◯◯ちゃん、□□さんにお酌しないとダメだよ」
などと強要しないよう、注意が必要です。
ほかにも、次のような発言をして、問題になることがあります。
・相手の本心がわからないのに「まだ結婚しないの?」と不用意に尋ねる
・「結婚しているのに、子どもはまだできないの?」と投げかける
悪気なくこういった声かけをしてしまうことは、じつは、ありがちなのではないでしょうか。
「いままではこうだった」と思っていたことが、いまはハラスメントとして問題になってしまうこともあるのです。
「昔はこうだった」という考えを手放し、相手がどのように感じる言葉なのか、いままで以上に配慮が求められています。
■思い込みに気づく意識を持とう
自分の思い込みに気づかずに、意見を通そうとしてしまうことはありませんか?
「これが当然」「これが常識」と強く思い込み、それを、周囲に押しつけてしまうこともあるかもしれません。
なかには、相手の意見を論破しようとしてしまう人もいるようです。
相手からすると、これは攻撃的なコミュニケーションだと感じてしまいます。
そこまでではなくても、偏ったものの見方によって、相手が不快に思うケースもあるでしょう。
たとえば、以前
「大手企業の営業は、男性がすべきじゃないの?」
「子どもが小さいのに仕事ばかりしていると、子どもがかわいそうだ」
と言われて傷ついたという、女性社員の相談を受けたことがありました。
また、いまは男性の専業主夫もいる時代です。
ところが、
「うちの夫は主夫なんです」
と言った瞬間に、
「妻が働かなくてはいけないなんて大変ね」
「男は働くものじゃないの?」
という、理解のない言葉や相手の驚く姿に、とても心を痛めたという話も耳にします。
激しく論破するわけではなくても、ちょっとしたひと言で相手が不快感を抱いたり、傷ついてしまったりするのはよくあることです。
でも、言ってしまった本人がそれに気づかなくては、直すのも難しいでしょう。
日常の失言やコミュニケーションのすれ違いは、アンコンシャスバイアスが影響していることがあります。
1月20日のコラムでも触れたように、アンコンシャスバイアスは、無意識のうちに「こうだ」と思い込むことです。
過去の経験や見聞きしてきたことによって生まれ、誰にでもあるもので、日常生活のなかにあふれています。
だからこそ、
「わたしたちには、さまざまなアンコンシャスバイアスがあるものなのだ」
と普段から意識していると、
「いま、わたしはアンコンシャスバイアスの影響を受けた発言をしてしまったな」
と気づき、徐々にでも改善することができるようになっていくでしょう。
知らぬ間にハラスメントにつながらないようにするためにも、自分のなかに潜んでいる「思い込み」に気づき、手放していくことが大切です。