日付:2023年06月1日
■断る理由と代替案を用意しよう
取引先から無理な要望があったとき、あなたはどのように対処していますか?
関係性によっては、何とかして引き受けることもあるかと思いますが、どうしても断らなくてはならないときもあるでしょう。
そういったときには、「なぜできないのか」という理由を明確にすることが大切です。
仕事上の関係ならば、とくに相手が納得できるような、断りの理由を伝える必要があります。
また、無理が発生するために断らなくてはいけない場合、どういった条件であれば引き受けられるのかという代替案も用意しましょう。
たとえば、今後も顧客として、長いお付き合いをしていきたいと思うのであれば、
「ここまでであれば、対応できます」
「◯◯の納期なら可能です」
と、別の提案をしていきましょう。
代替案を出すことで、検討している姿勢を見せることができます。
できる限り寄り添おうとする意向が相手に伝われば、たとえ断ったとしても、印象が悪くなることはありません。
依頼について検討する際には、相手がこちらにお願いしている背景を汲みとることも大切です。
なぜ、ここまで難しい条件(納期や金額についてなど)になってしまったのか、相手の事情もさまざまなケースが考えられます。
その点を確認するために、
「このような依頼になったご事情や背景についても、お聞かせいただけますか?」
と投げかけることも、ときには必要なのです。
■無理な要望には、「できること」「できないこと」の線引きをする
たとえば、取引先がこちらに対して、
「この人(この会社)には、いろいろと無茶なことを言っても大丈夫」
と思っている場合、毎回当たり前のように対応するのが大変な要求をしてくることがあります。
この状況をどうにかしたいのであれば、次のように意思を伝えてみてください。
「いままでは何とかお応えしたいと思い、ご希望に沿えるようにがんばってきました。とはいえ、こちらもかなり無理をしてきましたので、今後は◯◯のようにしてほしいのです」
このように、こちらのスタンスを一度明確にする必要があります。
不満を溜め込んで、
「ここまで、どれだけ無理をしてきたと思っているのですか?」
と突然逆ギレをするのは逆効果です。
大変だったという思いまでしっかり伝えたいのなら、
「いままでは、◯◯様のご意向に沿いたい、協力したいと思って、こちらも負担を感じながらもここまではしてきました。でも、これ以上負担がかかることが続いてしまうと、どうしても無理が生じることもわかっていただければありがたく思います。今後は、◯◯の条件(決めごと)に関しては、お守りいただきたいのです」
と率直に伝えていきましょう。
どんなに伝えづらい場合でも、相手に伝わるように「できること」「できないこと」を明確に線引きすることが大切です。
■権威者の発言に従うように言われたときも、自分の意見は伝えていい
権威者を盾にする発言を、耳にすることがあります。
「社長がこう言っているから、それに従うものだよ」
「上司がこう言っているのだから、そんなことを言ってはダメだ」
「この役職者がこう言っているから、正しいに決まっているだろう」
権威者の名前を出されると「言いづらい」と思う人もいるかもしれませんが、このような相手には、自分の意見を伝えてしまいましょう。
例1「社長がこう言っているから、それに従うものだよ」
→「そうですね。たしかに社長が言っていることも、一理あると思います。わたしは、こういう意見もあるということだけわかってほしかったのですが、いかがでしょうか」
こう伝えてみませんか?
例2「これが当たり前だ。常識だろう」
→「このようなときは、◯◯するということですね。わたしにとって、こういうときはこれが当たり前という認識がなかったので、このように考えていました」
こう伝えて、相手にも理解してもらうというスタンスで話すといいでしょう。
■理解してほしいことは伝わるように話そう
相手の発言に、決めつけや思い込みだと感じることがあっても、まずはいったん相手の意見を受けとめるようにしましょう。
そのうえで、相手の言動に対して感じたことを言うか言わないか判断し、言うと決めたなら率直に伝えます。
その際、相手に対して、
「そう決めつけないでください」
と責め立てるのは厳禁です。
「〜とは限らないこともわかってほしい」
「こういう考えや意見があることを理解してほしい」
と、わかってもらえるように伝えてみてください。
若手を対象にした研修でも、
「上司の言うことだから」
「社長の言うことだから」
と押しつけるような発言に対して、不満を感じている、モチベーションが下がるという声を多々耳にします。
でも、不満を抱えてただ悶々としたり、相手の思い込みだと心のなかで責めたりしても、物事は動きません。
理解してほしい自分の考えを、相手に伝わるように話す訓練をしましょう。
意識し続けることで、無理な要望があったときにも、相手と建設的な話し合いができるようになるはずです。