日付:2022年03月1日
■イライラすると、つい立場の弱い人に八つ当たりしてしまう…
いよいよ来月に迫っている中小企業のパワハラ防止法施行にあたり、
「つい八つ当たりをしてしまうのをなんとかしたい」
という相談は、思いのほか多いものです。
怒りには「立場が強い人から、弱い人に流れていきやすい」という性質があります。
仕事上では、部下やサービス業の人、取引先の人(発注側のほうが立場が強いため)などが、八つ当たりの対象になりやすいでしょう。
つい八つ当たりしてしまう人からは、
「イラッとすることがあると、部下に感情的になってしまう」
「上司に厳しく注意を受けてムカッとしてしまい、下請け会社の担当者にキツくあたってしまった」
「何も文句を言い返してこないだろうと思われる、飲食店の店員さんに文句を言ってしまった」
……という声も多く聞きます。
八つ当たりされる側は、不毛な怒りをぶつけられている状態。
当然、相手に対してよい印象を抱くことはありません。
そして、本人に言い返せないために、さらに下の立場の人に八つ当たりをしてしまう……。
このように、不毛な怒りは連鎖してしまうのです。
■無意識の行動に気づく
以前実施したある企業の管理職を対象としたオンライン研修では、約1500名の方が受講し、2週間、怒りの記録(アンガーログ)をつけてもらいました。このとき
「立場の低い人に怒りをぶつけてしまった」
と、シェアしていた人が複数名いました。
こうして、自分で気づいて自己開示できた人は、改善に向けて大きく進んでいます。
じつは、無意識に八つ当たりをしてしまっている人は案外多くいるもの。自覚がないために繰り返してしまっているのです。
「自分はイライラすると、立場の弱い人に怒りをぶつけてしまう」
「この人たち(八つ当たりされている人)は悪くない」
と気づくことができたら、同じような怒りを感じたときに、
「八つ当たりするのではなく、どう怒りを解消させたらいいのか?」
と考えることで改善に向けて、取り組みやすくなるでしょう。
ひとりが八つ当たりをやめることで、負の連鎖を断ち切ることができるのです。
そうやって、怒りをどう解消させたらいいか、一人ひとりが考えられるといいですね。
アンガーマネジメントでは、自己理解の第一歩として、自分にどんな怒りの傾向があるのかを知ることの大切さを伝えています。
「無意識」が「意識的」になるように気づくことが、改善への第一歩です。
自分の怒りを否定しないで、一度見つめてみましょう。