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伝え方次第で相手の行動が変わる

日付:2021年04月20日

■理由や根拠が納得できると、人は行動する

 

相手を説得するときや、行動をうながすとき、あなたは相手に「理由」まで伝えられていますか?

忙しいと、つい依頼内容だけを伝えてしまうということがありますよね。

でも、相手に理由まで伝えることは、仕事をスムーズに進めるためには必要不可欠です。

 

たとえば、「◯◯社への資料作成を夕方17時までにお願いします」より、「わたしたちの新たな提案を◯◯社の会議で議題にあげてくれるようなので、どうしても17時には資料が必要です。資料作成をお願いします」と言われたほうが、依頼された相手も受けとめやすくなるでしょう。

 

複数人の間でルールを設定するときや、すでに決められている何かを変えたいときには、「◯◯をしたいのです。なぜなら……」という説明を付け加えるようにしましょう。

なぜという理由や根拠が納得できると、人は自発的に行動に移すからです。

 

では、相手に注意をうながしたいときはどうでしょうか。じつはこちらも同じです。

「会社で決まったことだから。上の人たちがうるさいから」

「社会人として当たり前のことだから」

と言われても、納得して気持ちよく行動することはできませんよね。

 

ではどのように言えばいいでしょうか。

「帰宅する際は、デスクの上には書類は置かないようにしましょう。なぜなら、帰宅後に清掃業者の人が作業をするとき、間違って捨てられてしまうことも考えられるから。最悪、機密事項の紛失という事故になって、組織の信頼を揺るがす事態にもつながってしまうので、気をつけてほしい」

このように、理由がわかると人は納得できるものです。

ひと言理由を付け加えて伝えることを意識しましょう。

 

■「何をわかってほしいのか」を事前にはっきりさせておく

 

相手に伝わる言い方をするためには、理由を付け加えるとともに、「何をわかってほしいのか」を明確にし、その言いたい「核」の部分を伝えましょう。

言いにくいことだからといって、遠回しに伝えても、相手には伝わりません。

 

たとえば、NO残業DAYを守らず、連日残業している女性部下に対して、

「毎日かなり仕事を抱えているみたいね。残業も多いようだし、ワークライフバランスも考えなければいけないと思って。何かあれば相談してね」

と伝えたところで、「NO残業DAYだから残業せずに帰ってほしい」という「核」の部分は伝わりません。

 

もし彼女が、自己主張が強いタイプなら、

「ありがとうございます。でも、わたし、仕事が好きですし、帰宅してもすることがないので、気にしないでください」

と言われてしまう可能性もあります。

 

遠回しな言い方ではなく、「核」になるメッセージを明確にし、はっきり伝えましょう。

「いつもありがとう。毎日かなり仕事を抱えているみたいね。残業も多いようだけれど、NO残業DAYは残業せずに定時退社してもらえないかしら。もし終わらないような状況であれば、仕事の量を見直してみましょう」

このように「核」の部分を伝えるには、事前に「これをわかってもらいたい」という棚卸しをすることが大切なポイント。

できない場合の代案を用意しておくと、さらにいいですね。

 

■中学生でもわかるくらい明快に伝える

 

「これをわかってもらいたい」という棚卸しをすることで、伝えたい「核」になる部分が明確になります。ところが、そこで抽象的な言葉を使ってしまうと、相手には伝わりにくくなってしまいます。

 

たとえば、「主体的に動いてね」「ちゃんと片づけてね」「メールは早めに返信してね」といったように、一見相手の行動をうながす内容でも、「主体的に」「ちゃんと」「早めに」というフレーズでは、相手に伝わる具体的な表現になりません。

 

「わからないことがあったら、自分から相談をしにきてね」

「共有スペースではものを置きっぱなしにしないで、しまうべきところに片づけてね」

「メールは遅くとも24時間以内に返信してね」

 

何かを頼むときや説明をするときは、「中学生でもわかるくらい明快に」を意識して伝えましょう。そうでなければ、共通認識にならずにずれてしまいます。

ゴールは相手が理解して、行動にうつせること。相手がわかる表現を意識して伝えてみてくださいね。