日付:2023年12月20日
■相手はただ聴いてほしいだけで相談することもある
あなたは、人に相談をしたいとき、どんな気持ちで話をしますか?
何かアドバイスがほしい場合もあるかもしれませんが、まずは、自分の話を聞いてもらいたいのではないでしょうか。
ですから、反対に人から相談をされたときにも、アドバイスはかならずしも必要ではありません。
もしかしたら、相手はただ自分の話を聴いてほしいだけかもしれないからです。
それなのに、よかれと思って、
「じゃ、こうしたら?」
「こうしたほうがいいよ」
と言ってしまっているケースは多々あります。
これは、男女間、パートナー間でもよく耳にする問題です。
ただ聴いてほしいのに、話の途中で解決策ばかり言われてしまうと、
「いまは、そんなことを求めているわけじゃないのに……」
というすれ違いが生まれてしまうのです。
さらによくないことに、アドバイスが
「これができていないからじゃない?」
「あれをやっていないからじゃない?」
というダメ出しになってしまっていることもあります。
長すぎるアドバイスは、説教になることもあるので注意が必要です。
とくに、パッとひらめいて話し始めてしまうタイプの人は、相手が話している途中でも、被せて話し出してしまいます。
でも、「まずは最後まで話を聴いてほしい」という人のほうが多いものです。
相手の話を聴くように心がけましょう。
■相手の話を止めるときは、相手の名前を呼んでみる
一方、相手の話が長すぎて、機関銃のように止まらないケースもあります。
聴き手側も、ただ長話になってしまうのは避けたいものですよね。
そういったとき、わたしは相手の名前を呼びかけるようにしています。
たとえば、
「○○さん。話を正確に理解するために、1回確認していい?」
「○○さんの話はこういうことかな。整理していい?」
と名前を呼ぶと、相手がこちらに注目してくれることが多いのです。
「ちょっと待って」
と言わず、
「○○さん、ちょっといい?」
といったように声をかけてみませんか?
そして、あなたの話を正確に理解するためだと伝えて、話を止めることがポイントです。
■アドバイスを求められたときに心がけたいこと
講座や研修時には、次のような人に困惑する講師が少なくありません。
・講座の流れが止まるような長い質問をする人
・10分休憩の最中に、質問攻めにする人
・講座の主催者が片づけ始めても、ずっと話している人
まわりが見えなくなっているために、うしろに人が待っていても、まったく気にしない人もいます。
その場合、講師側で時間をいったん終えなくてはいけません。
もし研修後に多少時間のゆとりがあるのなら、
「休憩時間中なのでごめんなさい。限られた時間なので、いったん終えて、講座後にもう1回話を聴いてもいいですか?」
と提案することもあります。
もう帰らなくてはいけないときや、会場を閉めなくてはいけないなど、タイムリミットだというときには、
「申し訳ないのですが、ここまでの話のなかでは、わたしは◯◯だと理解しました。この後は□□の事情があるので失礼しなければいけません。ここまでになりますがよろしいですか? 本当にごめんなさい」
こう言って打ち切るときもあります。
講座の例をあげましたが、仕事やプライベートでも同じように対応策を考えることができます。
たとえば、
「次の予定があるので、改めて○時以降に時間をとって聴きたいのですが、いいですか?」
と言って、別途時間をとることも一案です。
このように、相談を受けるにも、場面によってこちらの対応を変える必要があります。
その時々に合わせた、「聴く」姿勢を大切にしたいものですね。
*『アクティブ・リスニング ビジネスに役立つ傾聴術』
(日本経済新聞出版)好評発売中!*