日付:2021年01月12日
■お互いの価値観を認め合う
「母親なら子育てに専念すべき」
「子どもの帰りは家で待っているべき」
「学校の行事や説明会にはかならず参加すべき」
これは、わたしが専業主婦の友人たちと話していたときに耳にしたものです。
「働く母」だったわたしにとって、友人たちの価値観は受け入れがたいものでした。
もちろん、彼女たちに悪気があったわけでもありませんし、その価値観がいい悪いという話ではありません。誰でも自分自身の価値観を持っているものですし、それは否定されることではないと思っています。
では、それぞれが「◯◯すべき」「◯◯であるべき」という価値観を持っているとき、どのように歩み寄ればいいのでしょうか。
まず心がけたいのは、どちらがいいか悪いではなく、自分の「べき」が絶対に正しいわけでもないということを知ることです。
そもそも、生まれた場所も、育ってきた環境も人それぞれ違うのですから、初対面から価値観がまったく同じで、「ウマが合う」人と出会うほうが奇跡でしょう。
だからこそ、お互いの違いを認め、その人を形づくった背景にも思いをめぐらせ、じっくり耳を傾けてみること。そうすると、一見ウマが合わないと思っている人との距離も、意外と縮まっているかもしれません。
どちらが正しいのかで判断するのではなく、「そういう価値観もある」と相手を認めることで、気持ちもラクになるはずです。
ただし、先ほど例にあげた彼女たちが、「子育てに専念することが理想」と思って自分で実践しているうちは問題ありませんが、その価値観をまわりにも強要してくるようであれば、無理に合わせる必要はありません。
この場合は、「わたしにはわたしの考えがあるので、それ以上は言わないで」と伝えてみてもいいかもしれません。
■まずは相手に興味を持って、自分から話しかける
人付き合いをしていれば、誰にでも苦手に感じる人のひとりや二人はいるものです。
以前、わたしにも「この人は何を考えているのかな? ほかのメンバーとも話さないし、協調性がなくて、困るなぁ……」と不満に感じている人がいました。
でも、あるタイミングで彼とゆっくり話をする機会があり、一対一で話してみると、人見知りなだけで、仕事に対しての向き合い方はとても真摯で、誠実な人だったということがわかりました。
あの人とは「ウマが合わない」と決めつけてしまうのはもったいないなと、つくづく感じた出来事でした。もしかすると、あなたの勝手なイメージで決めつけてしまい距離を置いた相手は、あなたにとって一生の付き合いになる人だったかもしれません。
少しでももったいないなと思うのなら、苦手に思う相手でも、まずは興味を持ち、自分から話しかけてみましょう。
あなたの人間関係がもっと広がるチャンスかもしれません。
■環境も価値観も変化するものと割り切る
一方で、価値観はまわりの人や環境によって、変化していくものです。
よく、ずっと仲がよかった相手と、しばらく会わない間に価値観が合わなくなってしまったということはよくある話です。
たとえば、学生時代の友人たち。とくに女性の場合、未婚と既婚の違いや、子どもがいる人といない人、仕事をしている人と、そうではない人など、生活スタイルによって大切にしているものの優先順位が大きく違ってきます。
それぞれの生活スタイルや人間関係がまるで違うため、少し話をしてみると、話題がまるで異なり、戸惑ったという経験がある方もいるのではないでしょうか。
そういえば、独身の女性が子育て中の友人に、「自分の好きなことに時間もお金も使えていいわね。独身は悠々自適よね」と言われてムッとしたり、逆に、独身の友人から子育てしている女性が「仕事しなくて生活できるなんて、いいよねぇ」と言われたり……。
小さなトゲを感じる言葉を言い合って、お互いに嫌な思いをしたことがあるという話も聞きます。
どちらの立場でも、それぞれに悩みや不安はあるもの。
でも、その立場に立たなくてはお互いに理解できないことはたくさんあるのです。
わたしは、異なる意見がぶつかり合って、どうしても相容れないという状況のときには、無理をして合わせる必要はないと思っています。お互いに無理をすれば、ストレスがたまり、いつのまにか疎遠になってしまうというケースもあるからです。
人それぞれに大切にしたい価値観があり、その相手と自分とは違っていたというだけです。こんなときには「世間一般のものではない」と割り切ってしまいましょう。
■ストレスがたまる相手とは、適度な距離を置く
また、それほど親しい立場ではない方から、望まないお世話を焼かれてしまって、気持ちがざわついたということはありませんか?
そんなとき、わたしは、どうしても許せないということ以外は、自分も軽く受け流すようにしています。
そもそも、相手は悪意なく軽い気持ちでしてきているからです。
だからこそ、「この人といると疲れるな。一緒にいるのが苦痛だな」と感じるのなら、適度に距離をとることをおすすめします。
誘われると断れないと思っていても、無理をして付き合い、ストレスをためるくらいなら、会う機会を3回に1回くらいの頻度に減らしてみる。
「予定が入ってしまっていて」…「時間が合わなくて…」など、気分が乗らない相手に対して、しばらくは適度に距離を置いてみてもいいかもしれません。
とくに女性は結婚や出産、仕事などにより生活スタイルはどんどん変化します。
「またいつか合う時期があるかも」というくらいの軽やかな気持ちでお付き合いするほうが、気分もスッとラクになるのではないでしょうか。
環境が変わり、タイミングが合ったときには、「あの頃はこうだったよね」と話に花が咲くこともあるはずです。
どうしても関わらなくてはいけない人以外は、自分の気持ちに無理をせず、いまは心身ともにソーシャルディスタンスをとる時期と決めて、ほどよい距離感を保ちましょう。