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リモートワークでもコミュニケーションを深めるコツとは?

日付:2023年09月1日

■メンバー間では感情を伝えることも欠かせない

 

 

■メンバー間では感情を伝えることも欠かせない

 

昨今では、リモートワークを行う企業が増え、メールやチャットを使ったコミュニケーションが主流になってきました。

 

各会社では、さまざまなツールが活用され、コミュニケーションをとるための工夫がなされているようです。

ところが、そこで交わされる内容は「必要な情報の共有だけ」と考えている人が多く、言葉に感情を乗せることや、感情をあらわす言葉を伝えることに躊躇している人が大勢います。

 

「◯◯さんからこのことを聞きました」

「この案件が終わりました」

このような、ホウレンソウに関わる内容を共有することはできても、自分が抱えている悩みや不安は伝えにくいようです。

これは、リモートワークだからこその悩みかもしれませんね。

 

実際、ある企業の3年目の若手社員と話をしていたときに、こんな相談を受けました。

「依頼された仕事をこんなやり方でやっていいのか、この理解で合っているのか、不安な気持ちがあるのだけれど、不安であることや、困っているということを言っていいのか、チャットやメールに書いていいのかどうかわからない」

このような声は、増えていく一方です。

 

「在宅で仕事をしているのですが、これをどうやって進めていいか、とても困っています」

「どういうタイミングで相談していいのかわからず、とても心細いのですが…」

じつはこういった内容こそ、とくにリモートワークで働いている人は意識して共有する必要があるのです。

 

新入社員研修でも、

「業務日報には、この不安な気持ちのことを書けなかった…」

と涙ながらに相談されたこともありました。

不安な思いや心細さを抱えているのであれば、一緒に仕事をしているメンバーに、いち早く知らせることが得策です。

 

■感情を伝えることと、感情的に言うことはまったく違う

 

リモートワークの環境下では、一人ひとりの様子を見て、心の移り変わりに気づくことが難しくなっています。

リーダーのなかには、「何かあったらいつでも言ってね」と伝えてもタイミングに気をつかうメンバーもいるので、相談OKの時間帯を周知しているという人もいるようです。

自分がいま感じている困ったこと、不安なこと、心細いことを共有することを、チーム内の共通認識として広めておいたほうがいいでしょう。

 

ただ、ここで間違えたくないのは、「感情的に物を言う」ことと、「感情を伝える」ことはまったく違う、ということです。

「◯◯が不安」「△△で困っている」というように、自分の感情を上手に伝えることは、どんな関係性同士であっても、心がけたいところです。

 

そうは言っても、会議のときに、ネガティブな話ばかりするのは、発展的な話ができなくなるのでおすすめしません。

1対1のコミュニケーションの場所で交わすようにしましょう。


 

■「グッド&ニュー」でコミュニケーションを深めよう

 

雑談を交えたコミュニケーションは、人との関係性を築くうえで、とても大切な要素です。

リモートワークになって、雑談がなされなくなった弊害が出てきています。

そこで紹介したいのが、会議の冒頭でメンバーが「グッド&ニュー」を披露する方法です。

研修のアイスブレイクでも行うことがある「グッド&ニュー」では、言葉通り、参加している人たちがお互いに最近あったよかったことを話します。

 

・最近、嬉しかったこと

・ここ一週間であった、よかったこと

・こんなことがあってラッキーだなと思ったこと

・新しく知ったこと

などを自由に話してみてください。

 

もしも参加人数が多い場合は、

「今回はこの3人、次回はこの3人が発表してください」

とグループを分けるのもおすすめです。

 

話す内容は、仕事に関係のない些細なことでかまいません。

「最近◯◯を買って、とてもよかった」

「昨日子どもが『ありがとう』と言ってくれたので、とても嬉しかった」

「新しい服を買えて心が躍った」

「どこかのお店でおまけしてもらえた」

このような、日常の些細なことをシェアしましょう。

 

それをチームの皆で聞いて

「よかったね、おめでとう!」

「もっとそれについて教えて!」

と言い合う時間を持つことで、その人の普段見えなかった一面が垣間見えたりします。

 

趣味の話をしたときに、

「わたしもそれをやっているよ!」

と言ってくる人がいたら、そこで親近感が生まれることもあるでしょう。

話している内容が、いいことやよかったことなので、聞いている人は温かい気持ちになり、発言しやすい雰囲気になるという相乗効果があります。

 

コロナを経て、リモートワークが定着した企業も数多くありましたが、とくにリモートワーク導入当初は、環境の変化で心理的負荷を抱え、心の不調を訴える人や、ストレスからくる蕁麻疹で皮膚科を受診する人もいたと聞きます。

このようなことが背景にあるからこそ、アイスブレイクの時間を設けて、わいわいと嬉しい話を伝え合うことは、場を温めることにもとても有効ではないでしょうか。

 

リモートワーク時でも心が通い合い、深いコミュニケーションをとれるようになるといいですね。


 

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