日付:2023年10月1日
■まずは、相手の話を聴いてみる
人とのコミュニケーションのなかで、受けとめてもらえないと感じ、もやもやした気持ちになったことはありませんか?
コミュニケーションでは、「この人はわたしの話を十分に聴いてくれた、理解してくれた、わかろうとしてくれた、気持ちを受けとめてもらえた」ということを相手に感じてもらえることを目指しましょう。
これが、双方向のコミュニケーションをもっともうまく成り立たせる秘訣です。
相手の話を聴かなければ、相手への理解は深められません。
お互いに相手の話を聴き、理解することで、信頼関係が生まれ、良好な関係へとつながっていくのです。
■親しい間柄こそ「アクティブ・リスニング」を意識しよう
パートナー同士や親子間でも、「相手が話を聴いてくれない」という相談をよく受けます。
身近な人こそ、「聴いているようで聴いていない」ということに不満を感じるものかもしれません。
研修先でよく、男性側から、
「仕事で疲れているのに、家に帰ると興味のない話ばかり聴かされてうんざりする」
という話を耳にします。
それほど、相手の話を一生懸命に聴くことは、とてもエネルギーを使う行為なのです。
身近な人にほど甘えが生じてしまい、つい
「疲れているんだから、興味のない話はしないでよ」
「わざわざ手を止めたり、相槌を打ったりするのも面倒だ」
という態度をとることはありませんか?
もし心当たりがあるのなら、相手の話を聴くエネルギー量が減っている証です。
そのようなコミュニケーションをとり続けていると、やがて関係性が壊れてしまうことにもなりかねません。
話し手にとっては、寂しさ・虚しさ・孤独感を募らせ、ときには怒りにつながってしまうこともあるからです。
親しい間柄こそ、聴き手が話を聴いているということが、話し手に伝わるように表現する「アクティブ・リスニング」を意識しましょう。
■聴く姿勢が疎かになっていないか振り返ろう
パートナーヘの不満についての相談を受けることが多々ありますが、
「何も聴いてくれていない」
「わたしのことをわかってくれない」
「結局、何もわかってもらえていなかった」
といったことが多く挙げられます。
なかには離婚も考えているという話もあります。
離婚まで至らなかったとしても、このような不満を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
人は親しい間柄であればあるほど、自分のわかってほしいことを前面に出すことが多くなります。
「この人のことが好き。仲良くなりたい」
と思っているときには一生懸命に話を聴くエネルギーがわいてくるのですが、関係性ができあがるほど、相手の話を聴くことが疎かになってしまう人も多いものです。
そうお伝えしているわたし自身も、仕事をしているときは、夫に対して
「いまは忙しいからあとにして」
と言ったり、何かをしながら「ながら聴き」したりすることもあり、反省することがあります。
ただ、聴く姿勢が疎かになってしまっていても、気づいて改善できるなら問題ありま
せん。
自分の聴き方に気づかず、改善することもなく、相手のマイナスの気持ちが積み重なっていくことだけは避けたいものです。
■どのような状況で聴けていないかを把握する
身近な相手に対しては、つい甘えも生じ、相手の話を聴くことが疎かになりがちな人が多いとお伝えしましたが、そのほかにも自分がどのようなときに聴くことができていないのかを知っておくことも大切です。
コミュニケーション能力の高い人は、まず自分がどのようなときに、どういったコミュニケーション、自己表現をするのか、その傾向やクセなどを知っています。
つまり自己認知できているということです。
日頃、自分がどのような聴き方をしているのか、そして、どのようなときに聴くことができていないのかを知っておくこと、意識しておくことで、無意識にしていることにも気づけるようになり、改善していくことができます。
研修などで
「どのようなときに聴くことができていないと思いますか?」
と尋ねると、
・身近な相手の話
・何度も聴いた話を繰り返しされたとき
・興味のない話
・嫌いな相手の話
・長々と話が続くとき
・自分の意見に真っ向から反対されたとき
・心に余裕がないとき(忙しい、困ったことを抱えている、イライラしている、など)
・体調がすぐれないとき
などが出てきます。
人それぞれ傾向は違うと思いますが、把握しておくことで、
「こういうときこそ、意識して聴かなければ…」
と自分に言い聞かせることもでき、聴くスイッチも入れやすくなりますよ。
まずは、自分の聴き方の傾向を認識し、アクティブ・リスニングを意識して、人間関係を円滑にしていけるといいですね。
*『アクティブ・リスニング ビジネスに役立つ傾聴術』
(日本経済新聞出版)好評発売中!*