-COLUMN-

コミュニケーションにも影響を与える自分の心の声に注意しよう

日付:2021年08月1日

■伝え方よりも自分の心の状態を整える

 

わかってほしいと思って伝えても、相手にわかってもらえていない、伝わっていないと感じた経験はありませんか?

 

このようなコミュニケーションのズレは、誰にでも一度や二度はあるのではないでしょうか。

だからこそ、人とのコミュニケーションに苦手意識を持っている人は多いものです。

 

自分の思いを伝えるときには、相手に伝わるように表現するスキルや言葉の選択も必要ですが、それと同じくらい大切なのは、相手と向き合うときの自分自身の心の状態です。

 

「こんなことを言ったら、嫌われてしまうかも…」

「上司に対して、わたしなんかがこんなことを言ってもいいのかな。明日からの仕事がやりにくくなるかも…」

「どうせわたしの言いたいことはわかってもらえないだろうな。却下されるだろうな…」

 

伝える前からこういった思いを持っているなら、言葉よりそのマイナスな気持ちのほうが、相手に伝わってしまうかもしれません。

 

「目は口ほどに物を言う」と言いますが、心で思っていることは表面に出てしまうものです。

・「ええと…」「それは…」と話し方がオドオドする

・「それについては、じつは言いにくいのですが…こういうところがあり…」とまわりくどくなる

・「はっきり言えませんが、こんなふうに感じていたりして…」と自信がなさそう

と、マイナスな気持ちを持ったまま伝えようとすると、こういった発言の仕方になってしまうことがあります。

 

■無意識の心の声にも要注意

 

あまりにも思いが伝わらなければ、相手に対して攻撃的な気持ちが沸いてくることもあるかもしれませんね。

 

「わたしのほうが正しいのに! この人は何もわかっていない!」

「わたしの言うことを聞いてもらわないと埒が明かない!」

 

たとえばこんなふうに、心で思っていることは相手にも伝わり、「この人の話は聞きたくない!」と素直に耳を傾けてもらえなくなってしまうこともあります。

 

また、これは自分が謝罪するときや、相手の話を聞いているときも同じです。

「とりあえず謝っておけばなんとかなるかな」

「話が長いなぁ。さっさと終わらないかな…」

といった心のなかの声にも気をつけましょう。

 

■プラスのイメージを持って誠実に相手と向き合おう

 

ある男性から受けた相談があります。

「こちらが謝っているのに、取引先の担当者から嫌味を言われてばかりで、なかなか許してくれないんです」

そこで、どのようにお詫びの言葉を伝えたのかより詳しく聞いてみると、

「すみません。本当にすみません。◯◯さまにはいつも本当にお世話になっていて、感謝の気持ちばかりです。日頃からお世話になっているので結果を出すべく動いてみたのですが、期待に答えられずにすみません。いろいろやってみたのですが、どうにもできなくて…(中略)…本当にすみません」

と、すみませんを連発。

 

これではまるで、

「文句を言われないように下手に出ておこう」

「まずは謝罪の言葉を言っておけば間違いないかな…」

「謝っておけばそのうち許してもらえるだろう、なんとかなるだろう」

といったいいかげんな気持ちが透けてみえるお詫びの仕方に感じ、相手も不快になってしまいますね。

 

結果的に、彼の場合は、関係の修復にずいぶん時間がかかったと言います。

 

このような誠意の感じられないお詫びは、かえって相手に不快感を与えてしまうことになりかねません。

大切な話をするときには、まずは最低限、相手と向き合う自分自身の気持ちを整えることが重要です。

 

「きっとわかってもらえる。わかり合える」

「いい結果になる。いい話ができる」

 

と、プラスのイメージを持って向き合ってみましょう。

「どうせわかってもらえない」という思い込みや「わたしが正しい!」という思いを捨て、まずは自分自身の状態を見つめ直してみませんか?

相手と向き合うときの気持ちが整えば、自然と言葉も変わり、相手への伝わり方も変わってくるはずです。

 

 

*怒りの扱い方大全(日本経済新聞出版)好評発売中!*