日付:2023年08月10日
■クレームには真剣に率直に対応しよう
クレームを受けたとき、どう返答したらいいか、とっさの判断に迷うこともあるのではないでしょうか。
クレームを受けたら、何をゴールにするかを早いうちから設定することが大切です。
相手は何らかの不満を感じているわけですから、まず要望を把握しましょう。
「商品の交換をしてほしい」「対応について今後はこのようにしてほしい」という要望を持っている人もいれば、「単に謝ってくれればいい」と思っている人もいるので、一人ひとり丁寧に確認したいところです。
相手からの要求のなかでも、できることとできないことがあるので、できることの範囲で提案をしていきましょう。
たとえば、過剰なクレームで
「その従業員を辞めさせろ!」
「何らかの保証金や慰謝料をよこせ!」
「謝罪文を書け!」
といった、できない要求をされた場合には、
「申し訳ありません、◯◯については、わたくしどもではいたしかねます。ご理解いただけませんでしょうか」
と真剣に率直に伝えることが得策です。
いつまでも「申し訳ございません」と謝罪ばかりを繰り返していると、「クレームを言ったこちらが悪いみたい…」と思わせてしまい、後味が悪くなることもあります。
理解していただけた場合は、
「ご理解いただきまして、ありがとうございます。今後も何かあればお聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします」
と感謝を伝え、今後の話や未来に向けての話に持っていくようにしましょう。
もし、いつまでも怒っていて、納得いただけない状態であれば、
「本当にこのたびは申し訳ありません。今後このようなことがないようにいたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
と改めてお詫びをしつつ、締めくくりましょう。
■相手の機嫌をとることを、クレーム対応のゴールにしない
どんなコミュニケーションスキルを使っても、相手の感情まではコントロールできません。
こちらが「こうします。◯◯します」といい提案ができたとしても、かならずしも相手の機嫌がよくなるとは限りません。
クレーム対応研修をしているときにも、
「わたしがここまでがんばって対応したのだから、機嫌よく受けとめてほしい」
とクレームを言う相手に求める人もいますが、そううまくいくことばかりではないのです。
クレーム対応時には、
・こちら側ができることを行う
・相手の機嫌をよくすることまではできないと割り切る
この2点を意識する必要があります。
これは、相手がお客様のときだけでなく、上司や取引先の人の場合でも同じです。
相手の機嫌を過剰に気にしている人が多く見受けられますが、割り切ることも求められます。
自分の気持ちに折り合いをつけられずに、不機嫌さを引きずってしまう人は多いものです。
友人関係や夫婦関係の場合も、ちょっとした喧嘩であってもすぐに仲直りできないという人もいるでしょう。
感情にどう折り合いをつけるのかは、本人の問題です。
不機嫌さを引きずっているのは相手の問題ですから、相手の機嫌を完全によくするというゴールを設定する必要はありません。
もし相手が取引先の場合、機嫌をとるのではなく、次の機会に相手が不愉快にならないように、誠実な対応をしていくといいでしょう。
■信頼関係を深めたいときのコツ
クレームに限らず、人と関わるなかで、今後も深い信頼関係を築くためにはポイントがあります。
「協力関係を築きたいと思っているので、いったん腹を割って話したい」
「◯◯さんと、今後もいいパートナーとして仕事に取り組んでいきたいから、何か思っていることがあったら、正直に縛りのない意見や考えを教えてほしい」
と率直に伝えましょう。
何のために必要なことなのかも伝え、相手が緊張するようであれば、
「ざっくばらんにお茶でも飲みながら話そう」
と伝え、話をするのもいいでしょう。
オンラインで話をすることも随分増えましたが、オンライン上でも、お茶を飲んだり、お菓子を食べたりしながら気軽にやりとりすることができます。
大切なことは対面で顔を見て話せたほうがいいところもありますが、その点に関しては相手の事情も考慮すべきでしょう。
電話やオンラインなど、環境や時間については、相手の都合にも配慮して設定することが大切です。
「いつだったら落ち着いて話せそう?」
「いつがいい? 何時がいい?」
と尋ねておくことで、落ち着いて話す時間を確保してもらいやすくなります。
いつの時代でも変わらないことですが、相手と本音で話したいときは、話し合う時間をとることが不可欠なのです。
近年は、業務以外のことを話す機会が持ちにくくなってきました。
本音を引き出す機会をうまくつくることも、伝え方、聴き方と同じくらい求められているコミュニケーションのスキルになっていくでしょう。
こちらの対応次第で、クレームの場面からも、人と関わるうえで大切なことを学ぶ機会になるのではないでしょうか。
お互いの立場や主張を大切にした自己表現ができるよう、アサーティブなコミュニケーションをとっていけるといいですね。