日付:2019年10月17日
■自分の正直な気持ちを伝えていますか?
「言えない」と「言わない」の違いがわかりますか?
「言えない」というのは、「こんなことを言ったらどう思われるだろう…」と思って言葉に出せない状態のこと。
一方、「言わない」とは、「あえて言わなくてもいいかな」と自分で言わない選択をすることです。
じつは、この2つの言葉は、似ているようでいて、まるで意味が異なります。もっとも大きな違いは、「言わなかったことで、あとで大きな後悔が残るか残らないか」という点です。
たとえば、「ま、いいか」とやり過ごして、相手に言わなかったことでも、時間が経つにつれて「言えばよかった…」と後悔することはありませんか?
「この間は言えなくてモヤモヤしたから、今回は言おう」。そう思うときは、思いきって伝えたほうがいいですね。
コミュニケーションでモヤモヤする気持ちをなくしたいなら、日頃から、「自分がどうしたいのか」という、正直な気持ちに目を向けてみましょう。
どうしたいのかに目を向けたとき、繰り返し「やっぱり嫌だな…」と思うなら、たとえ小さなことでも、その気持ちを正直に伝えるようにしていくほうがおすすめです。
以前、研修時にこんな相談をされました。
Aさんには、仕事のあとに定期的に食事に行く同僚が、Aさんを入れて4人います。楽しい食事の席ですが、いつも割り勘になることに不満を持っていました。
なぜなら、Aさんはまったくお酒が飲めず、いつもソフトドリンクばかりだからです。ところが、ほかのメンバーはお酒が強く、毎回かなりの量を飲みます。それでも、支払いはなぜか毎回割り勘。
「でも、わたしばかり損をしているから割り勘はやめたいなんて言ったら『ケチな人』と思われそう」「そんなことを言ったら、今後は声をかけてもらえなくなるかも…」
そんなふうに考えすぎて、ずっと我慢をしてしまっていたそうです。
次第に、「もっとまわりが気を利かせてくれてもいいのに!」とメンバーに対してイライラしていました。
お金のことになると、人はなかなか言い出しにくいものですし、こじらせてしまうととても厄介なものです。いつまでも引っかかるようなら、思いきって自分の正直な気持ちを伝えてみましょう。
こんなシーンでは、「わたしはお酒を飲んでいないから、割り勘じゃないほうがありがたいな」と軽く言ってみたり、ランチでの集まりを提案してみてはいかがでしょうか。
■ときには「言わない」選択をしてもいい
気になっているのに言えない場合の対処法をお話ししましたが、「まぁ言わなくても別にいいか」とあまり気にしていないときには、あえて「言わない」という選択もあります。
たとえば、電車のなかのマナー違反。電車内で化粧をしている人を見かけた場合、わたしなら「次の駅で降りるし、あえて言わなくてもいいかな」と判断することがあります。
ほかにも、「少し太ったんじゃない?」「前の髪型のほうがいいね」といった、こちらが不快に感じることを言われたときでも、「気にしなくてもいっか」と、受け流せることもあります。
このように、自分の意志で「言わなくていい」と決めたことは、あとになっても「言えばよかった…」という後悔が残りません。
ただ、言わないという選択をしたあとに、引っかかりがとれなかったり、あとから引っかかる気持ちが湧いてきたら、「この間の◯◯の件なんだけど…」と、次の機会には伝えられるといいですね。
「言えない」のと「言わない」のでは、会話の後味がまったく違います。
「言えなかった…」という思いが、相手との会話の苦手意識をますます大きくしてしまいかねません。
職場でもプライベートでも、スムーズなコミュニケーションを目指したいなら、ぜひ自分の気持ちを正直に伝えられるようにしたいですね。