-COLUMN-

「かまって行動」をする人や、できない理由を並べる人への対応方法とは?

日付:2023年07月1日

■どこまではOKでどこからはNGなのか、線引きをする

 

あなたのまわりに、「あれができない、これができない」と言ったり、何が言いたいのかわからないまま、相手の時間を延々と奪ったりする人はいませんか?

これは一見、率直に伝えることが苦手な「非主張的なタイプ」に見えますが、じつはとても独断的な性格の持ち主です。

 

自分がとても悩んでいることを引き合いに、保護してもらおうとする依存的な人や、わざと心配をかけるようなことをして、自分に注意を向けさせようとする人もいます。

膨大な時間を相手から奪っても、本人はまったく気にしていません。

これらのタイプは、思っている以上に組織に多くいます。

基本的に、優しくて面倒をみてくれそうな人に寄りかかるのが特徴です。

 

以前、こんな相談を受けたことがあります。

仕事で業務委託を依頼している相手が、約束の時間や納期を守らない。

何かを頼んでもできない理由ばかりを言われて、「しょうがないな」と世話を焼いたことをきっかけに、ずっとその状態が続いているとのこと。

 

そこでわたしが、なぜその人にずっと付き合っているのかを尋ねると、

「彼女も大変なのよ。いろいろと仕事のことやパートナーと別れてかわいそうで…」

と返答がありました。

 

依存して世話を焼かせる人と、どう付き合うかは、個人の判断の自由です。

「仕方がない。わたしがいないとこの人はダメだ」

と自ら関わる選択をするのもいいでしょう。

この例の人のように、

「かまうことによって、その人の役に立てたと思える」

と肯定的に受けとめているタイプの人もいるのです。

 

身近に「かまって行動」をする人がいる場合には、どこまでならOKにするのか、見直してみてください。

自分の生活や仕事に何らかの支障をきたすようであれば、どこまではOKで、どこからはNGなのか、線を引くのが得策です。

■できないことは「できない」と伝えよう

 

「かまって行動」をしてくる相手に対して、OKとNGの境界線を引けたら、

「ここまではできるけれど、ここからはできないよ」

ということを相手に伝えます。

そして、一度引いた線は、ずらさないようにしてください。

ぶれてしまうと、相手の甘えの気持ちが増長するからです。

 

ただ、非主張的なタイプは、「かまって行動」をする相手に「できない」と告げることに罪悪感を感じてしまいがちです。

「突き放すこと=悪いこと」だと思っている人も多くいます。

 

でも、負担を感じたり、我慢をしたりすることが増えたときに、

「これ以上は、自分にはできない範囲です」

と伝えることは、本来、悪いことでも罪なことでもありません。

無理をしてストレスがかかる関係は、いずれにしても長くは続かなくなってしまうものです。

自分の気持ちを大切にしましょう。

■できない理由を押し出す人には、建設的な話をする

 

引き受ける自信がないために、できない理由を並べる人もいます。

もちろん、できるかどうか不安な気持ちもあるでしょうが、余計な恥をかきたくない、大変な思いをしたくない、といった自己防衛の気持ちからきている可能性もあります。

 

「どうせ…」

「でも、わたしは…」

「だって、そんなことはしたことがありません」

このような言葉が出てくるときには、

「まずは、◯◯さんにお願いしたいこと、わかってもらいたいことを伝えたいのです」

「どうしたらこれが引き受けられるのかという話し合いを、◯◯さんとしたいと思っています」

このように、切り返していきましょう。

こちらから、建設的な話へリードしていくのがポイントです。

 

もしたびたび抵抗を示すなら、

「そんなふうに思ってしまう理由は何だろう?」

と尋ねることもおすすめです。

「そうだよね。経験がないから不安だよね。そんなふうに感じたんだね」

と理解を示しながら、相手の気持ちを深掘りしていきます。

 

そのほかにも、

「経験がないから不安だよね。できるようにするには、何ができるか考えていかない? わたしができることは言ってね」

このように伝えることも有効です。

もし、途中でイラッとすることもあったとしても、できるかぎり平静な態度で接しましょう。

 

■まずは、自分の口ぐせに気づいてもらおう

 

「でも」「だって」と切り返していては、相手と建設的な話し合いにはならないでしょう。

知らず知らず、無意識にこの言葉で切り返していることもありますので、振り返ってみませんか。

 

たとえば、以前こんな事例がありました。

「でも」「だって」が口ぐせの相手に、

「◯◯さん、口ぐせに気づいていますか?」

と直接投げかけ、それまで話をしていた「でも」「だって」というやりとりをこちらで再現して伝えたところ、相手はハッとして、自分の口ぐせに気づいたのです。

 

そうして自分の癖を理解してもらったあとに、

「このような切り返しをされると、対話にならないと思うんだ。対話や議論をしていきたいから、一度、『そっか』『そういう考えね』という受けとめ方をしてもらえると、こちら側も◯◯さんの話を受けとめやすくなるのだけれど、どうかな?」

と提案してみました。

すると、相手からは反論や攻撃的な反応はなく、自然と納得してもらうことができたのです。

 

「でも」や「だって」が口ぐせの攻撃タイプの人でも、

「この人なら通じるかな?」

と思える相手には、アプローチをしてみてください。

 

また、「でも」「だって」を繰り返す人と一緒に、仕事をしなくてはいけない場面もあるかもしれません。

そんなときは、

「まずは、どうしたらうまく解決するか、どうしたらまとまるかという視点でいてもらえませんか?」

と、動いてもらえるように働きかけましょう。

 

その際、先ほどの事例のようにその人の態度を事実として、冷静に伝えることが有効な場合もあります。

言い争いにならないように、これらのことを念頭に置いて対応してみてください。

お互いにとって発展的な関わり方ができるといいですね。

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